Dropkick
ツイッターの“ヤラセ騒動”に見るプロレス新時代■橋本宗洋
最近、これはいい話だなと思ったのがツイッターの“プロレス・ヤラセ騒動”だ。
あるファン(学生らしい)が学校の先生にプロレスはヤラセだと言われ、そうじゃないですよねと小島聡に聞いてきた。それに対して小島が回答。「プロレスが、ヤラセかヤラセじゃないか? なんて愚問だと思う」、「ただ単に勝敗を競ってるわけじゃない」とした上で、それでもレスラーが命がけで、身体をボロボロにしながら試合をしていることを複数のツイートで訴えた。
小島のツイートは、現役の選手として精一杯の、真っ当かつ真摯なものだったと思う。“そうとしか言えない”という感じだ。
ただ、僕が“いい話だな”と思ったのは、小島のツイートに関してだけじゃない。(何歳かはわからないんだが)子どもに対して「プロレスはヤラセだ」なんてことを言う大人がいる。それを気にして悩んだり怒ったりする子どもがいる。そのこと自体が“いい”と思う。
ここで、その先生をどうこう言うこともできる。「わざわざそんなこと言わなくても」とか「生徒が熱中してるものをバカにするのが先生のやることかよ」とか。まあ確かにそうなんだけど、でも僕はこういう先生がいることも“いい”と感じだ。
プロレスファンなら、ほとんどみんな同じ経験をしてるんじゃないかと思う。先生に、親に、同級生に「プロレスなんて八百長だろ」とか「なんでロープに振ったら返ってくるんだよ」とか言われるという。
で、そういう経験を経て、必死に理屈を考えたり感情的になってみたり、いろいろ本を読んだりして、そのことでプロレスファンとして成長していく。プロレスについて考える癖がついていく。そう考えると、プロレスをバカにされる経験もしといてよかったな、くらいに思う。
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