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川尻くんに試合前に言われたんですよ。「試合中に気が狂ったように打ちあいにいったときは目がダメになった、網膜剥離が再発したと思ってくださいね」と。
3度目の網膜剥離のため現役続行が危ぶまれているUFC日本人ファイター、川尻達也。再々発で日常生活にも支障が出るため一時は引退を決めたが、長年にわたって川尻を支えるトレーナー山田武士氏の紹介により、新たな手術を受けることで再起の道を目指している(川尻達也のインタビューはコチラ)。その手術は7月下旬に行われ、川尻は「まだまだ予断は許さない状況ですが復帰できる可能性もあるみたいです」というツイートを残した。我らが川尻達也はいまどのような状況にあるのか。山田氏に話をうかがった。
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――川尻選手が7月下旬、3回目の網膜剥離の手術をされました。川尻選手は今回の再発で一時は引退を決めたそうですが、山田さんがこれまでとは違った治療法を施す病院を探して、それで再起の道を選んだそうですね。
山田 まず断っておくと、手術内容に関してはすべて話せないことがあるんですよね。それは、俺もたっつあん(川尻)も目の専門家じゃないし、言ったことが間違って受け止められても困るから。それなのになぜあえて話すかといえば、いまのMMAって網膜剥離の情報があまりにも共有されてないところがあるんですよ。
――網膜剥離の現状を伝えたいところがあるんですね。
山田 やっぱり名もないファイターが言うよりは、網膜剥離3回目の川尻達也がどれだけ苦しい思いをしたのかという話は伝わりやすいとは思うんですよね。たっつあんも言ってたでしょ。「網膜剥離で困ってる選手がもっといるんじゃないか」って。ここではある程度の話しかできないけど、もっと深く聞きたいなら本人に連絡を取ってくれればね。
――川尻選手は「フェイスブックにメッセージをください」と言ってましたね。
山田 問い合わせが殺到しても困るけども(笑)。彼はいま病院近くのホテルの部屋でずっとうつ伏せの状態なんですよ。
――歩くことも許されてないんですか?
山田 歩くのは診察のときだけですね。お袋や嫁さんがたまについているらしいんですけど、基本的にはひとりで生活しているみたいです。
――それで手術の結果はどうだったのでしょうか? 川尻さんのツイートだと、なんともいえない内容でしたが……。
山田 これが言い方が難しい。ボクらが想像していた手術はできなかった。川尻くんはそうなったら引退と決めていたので、術後いったん引退したらしいんですけど。
――えー!?
山田 でも、翌日、術後の診察するじゃないですか。手術した院長先生は術後診察まではやらないので、ほかの2番手3番手の先生に話を聞いたら「それでも現役を続けているボクサーは確かにいる」と。もう大変ですよ、引退を決めたのにやっぱり続行できるのかって(苦笑)。
――それは精神的に疲弊しますよねぇ。
山田 その院長先生はかなり腕が立つんですよ。手術の成功確率が世界でトップらしいんです。それにいままでの手術だと部分麻酔なので、片目は麻酔しているけど、もう一方の目は見えるし、ガリガリと音が聞こえるしで凄く不快だったらしくて。そして術後は目が充血して真っ赤。川尻くんが2回目の手術をしたときなんて、2ヶ月ぶりにジムに来てもまだ目が真っ赤だったから。でも、今回の手術はまったく不快じゃなかったらしいし、術後の目も通常どおりだったらしくて。
――技術がズバ抜けてるんですね。
山田 そこはホント凄い病院なんですよ。名前を書けないようなボクシングの世界チャンピオンの人たちも、そこで網膜剥離の手術をしてまたリングに戻ってますから。もし網膜剥離になった選手がいたら絶対そこの病院に行くべきだと思います。でも、病院界では嫌われているらしいんですよね。性格的に荒っぽい方で、川尻くんも診察のたんび怒られるらしくて。「おまえが悪い!」とか言われたらしいですよ。
――うわっ。
山田 要は最初からウチに来ていれば治ったのにということらしくて。「自分の大事な目を預けるのにプロ意識がない」と。でも、それはたっつあんがべつに間違った手術を受けてきたわけじゃないんだけどね。そこが凄いだけで。
――それにしても強烈な先生ですね(笑)。
山田 術後すぐに「おまえ引退だ!」って凄くないですか(笑)。で、翌日の朝「それでもやっている選手はいる」と言う先生がいるわけで。たしかにいままでやった2回の手術とは内容はぜんぜん違うから現役を続けられないことはない。その内容に関して知りたい選手は、川尻くん本人に直接聞いてください。
――現状では完治はできなかったのだけど、現役を続行できる可能性はある。
山田 可能性はね。
――たとえると、メジャーリーガーの田中将大投手がトミー・ジョン手術を回避して、現状を維持しつつある程度の回復を待って復帰するに近いですか?
山田 そうかもね。本当だったらボクらは完治にした状態で続けたかったんですけど。その院長さんは厳しい人らしくて「もうやめろ」と。でも、下にいる先生たちは「その状態でも現役のボクサーはいる」と。院長からすると完璧な状態じゃないとOKはしたくないと思います。その院長からの完治証明書が出ないと、UFCは使ってくれないんで。その完治証明書がもらえるかどうか。
――そこはどういった基準になるんですか?
山田 その判断はたぶん院長だと思うんですよね。結局、やれるのかどうかもボクらもわからない。だ
ったらもう全面的に「ダメだ」って言ってもらったほうが後悔しないんだけどね。
――ほかのボクサーは院長先生からどうやって完治証明書をもらったんですか?
山田 そのへんがどうなのかなと思って。でも、やっぱりその選手の名前は聞けないじゃないですか。プライベートなことなので、それを聞いていいのか、聞いちゃいけないのかもわかんないし。
――完治しても情報は明かしたくないんですね。
山田 網膜剥離って情報として言っちゃいけないみたいな雰囲気があるから。スポーツの発展のためにホントは言ったほうがいいと思うんだけど。
――網膜剥離に関してネガティブだということなんですね。
山田 うん。凄くネガティブだと思うんですよ、ネガティブ過ぎて、認識が遅れていると思うんです。MMAでも選手間で言えないんですよね。「網膜剥離になっちゃったよ」とかさ。川尻くんが3回目だということも、ほかのファイターは知らなかったじゃないですか。川尻くんも、もうどうしたらいいかわからなくて、2回目のときにウチのジムでブチ切れたんですよね。あんなたっつあん初めて見た。
――そういうタイプじゃないですよね。
山田 デッカイ声で「俺はなんのために練習しているんだっ!!」と。目をかばいながら、なんの目標もなく練習してた。「これじゃ俺は強くなれねー!!」って。ちょうど修斗で児山(佳宏)が弘中(邦佳)くんに挑戦する前で、暑い中ボクとマンツーで練習しているのに「俺は先輩なのにこんなことをやっている場合か……!?」って怒りだして。それでもう1回前に進もうってことでUFCと契約することになったんです
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