阿修羅・原、冬木弘道の壮絶な生き様を語ったコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は「ジャンボ鶴田」後編をお届け!!
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イラストレーター・アカツキ@buchosenさんによる昭和プロレスあるある4コマ漫画「味のプロレス」ジャンボ鶴田編つきでお届けします。オー!!
■これまでの「プロレス歴史発見」シリーズはコチラ!!
【阿修羅・原】北海道の寿司屋に身を潜める阿修羅のもとに天龍が訪れた……
【理不尽大王】冬木弘道は「俺はやっぱり死ぬんだな」とニヤリと笑った…
山本宜久17000字ロングインタビュー、地下格闘技インタビュー、他コラムが掲載!!
12月度更新記事一覧 http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/201412
――当時の全日本担当だった小佐野さんからすると、鶴田さんのプロレス観はどういうものだったんですか?
小佐野 うーん、プロレスの話をしていた記憶がないですねぇ。始めからプロレスに興味があったわけじゃないですし(笑)。
――ハハハハハハ!
小佐野 道場で練習してる姿も見たことないです。あの当時、鶴田さん本人が言っていたのは「プロは舞台裏を見せない」と。「プロレスはもちろん一生懸命やります。でも、オフになったら人生を楽しみます。青春を謳歌する。それがボクの生き方です」というね。ことごとく天龍さんとの違いを出すわけですよ。
――ただ、ファンからすれば天龍さんの生き方に感情移入しちゃいますよねぇ。
小佐野 もうちょっと求道者というか、道を極めようとしてるほうに魅入られちゃいますよね。あと鶴田さんがあの頃に言っていたのは、プロ野球の江川卓と西本聖の関係。「ボクは西本じゃなくて江川卓なんです。王監督に頼むと言われたら笑顔でわかりましたと答えてきっちりやる」と。
――天龍さんは西本っぽいですし、鶴田さんは“たかされ”感がありますね。
小佐野 「ボクは60、70歳になったときにいいプロレス人生だったと振り返られるように人生設計してるんです。だから横山やすしにはなれない。西川きよしなんです」と。あとで天龍さんに話を聞くと、ことさらジャンボと比較されるから「こっちは銀座で豪遊だ!」となってたところもあったみたいでね(笑)。
――お互いに意地になって逆方向に走っていた感じなんですね(笑)。
小佐野 天龍革命の頃かな。天龍さんが酔っ払ってタクシーで鶴田さんの家の前を通ったら、とんでもない豪邸で「ジャンボの人生のほうが成功だったかな……と一瞬思った」って言ってから(笑)。
――鶴田さん天龍さんの仲はどうだったんですか?
小佐野 どうなんだろ……鶴龍コンビ時代も一緒に行動することはなかった。鶴龍コンビの頃、試合が終わると控室で離れて座るから、コメントを聞くのが面倒くさかったんですよね(笑)。まずどちらから先に聞くのかという問題もあるじゃないですか。そのとき記者陣は等分に分かれるですけど。
――2人が何か会話をしてる姿を見たことありますか?
小佐野 海外遠征に行けば一緒にメシを食べたりしてたし、2人でエルビス・プレスリーのコンサートを観に行ったりしてたし(笑)。
――ハハハハハハ! プレスリーなら話は別ですか(笑)。
小佐野 べつに仲が悪いわけじゃなかった。ただ、意識はしあってたと思うんだけど。ジャンボ鶴田が高飛車な人間じゃなかったら、天龍さんも相撲から来て全日本に溶け込めたのは「プロレスは甘いもんじゃねえぞ!」という先輩風を吹かす態度じゃなかったからだと言ってましたしね。
――フレンドリーに受け入れたわけですね。
小佐野 そこは天龍さんは感謝してましたよね。ジャンボが普通に接してくれたことで、変に構えないで全日本に入れた。それこそ渕正信や大仁田厚のほうが天龍さんにとっては壁を感じたんじゃないかな。彼らからすれば下積みをしているところに相撲からポーンと天龍さんが入ってきたわけだから、面白くはないよね。
――その天龍さんが天龍革命によって鶴田さんの怪物性を引き出していくわくですね。
小佐野 さすがの鶴田さんも、やっぱり日本人相手には意識も変わってきたんじゃないじゃないかなあ。外国人とは感情のぶつかり合いにはならないでしょ。だいたい外国人にしたって先輩とやってきたわけだから。
――天龍革命前にはジャパンプロレス勢がいましたけど、長州さんにも何も感じなかったんですかね?
小佐野 うーん、長州力には「この野郎!」という態度は見たことなかったなあ。あの当時の長州さんは身体が小さかったから。長州さんが大きくなったのは全日本を抜けたあと。だからジャンボ鶴田からすれば、長州力は扱いやすいサイズだったんだと思いますよ。逆に長州力がジャンボ鶴田をコントロールできないと思う。力も凄いし、身体は大きいから。
――そのジャンボ鶴田を怒らせたんだから天龍さんも凄いですね。
小佐野 怒らせ方もいろいろとあったよ。いきなり横っ面を張ったかと思えば、口攻撃もあるし。あの手この手で天龍さんは仕掛けていって鶴田さんを本気にさせた。そこは天龍さんが言っていたけど、「ジャンボが振り向いてくれた」ことに感謝してましたよね。
――全日本の状況として“振り向かないといけない”使命感めいたものも鶴田さんにあったんですかね?
小佐野 それはどうだかわからないけど、あの状況だったらほかに相手がいない。アメリカの状況も変わってきていて、強豪外国人選手が次々に来日してタイトルマッチをやる状況でもなかったじゃないですか。
――WWEが全米侵攻作戦を開始したりして、アメリカの勢力図も様変わりしてましたね。
小佐野 そうしたら天龍さんとやるしかないし、みんなが天龍さんを支持すればするほど、鶴田さんに燃えるものはあったでしょうし。やっぱり鶴田さんからすれば面白くはなかったですよ。マスコミ、ファンの多くが「天龍さん!天龍さん!」と持ち上げて、馬場さんだって天龍さんの味方には見えるもん。
――馬場さんと鶴田さんの仲は実際はどうだったんですか?
小佐野 それは諸説あってよくわからないけども……。鶴田さんには、サムソン・クツワダさんとの新団体クーデターの話があったじゃないですか。☆このインタビューの続きと山本宜久、木村フリップみのるなど、7本のインタビューが読めるお得な詰め合わせセットはコチラ
コメント
コメントを書く前篇を読み終えてから後編がアップされるのが待ち遠しかったです。12年前のサムソン・クツワダさんのインタビューも、できればここで再掲載してもらえないでしょうか。
>>1
kamipro時代の原稿なので難しいですが
単行本「吉田豪のセメント!!スーパースター列伝」に収録されてます。
ありがとうございます。さっそく探してみます
権利上問題がなければ、こちらで過去記事やインタビューも掲載してもらえたらうれしいです。