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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「YouTubeが作る “相互監視” の未来社会」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「YouTubeが作る “相互監視” の未来社会」

2019-05-15 06:00
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/05/15
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今回は、ニコ生ゼミ05月05日(#280)から、ハイライトをお届けいたします。

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 YouTubeが作る“相互監視”の未来社会

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 先々週、『林先生の初耳学』という番組で、画期的な万引き対策というのが紹介されました。

 それ、何かというと。あるお弁当屋さんが実際に使っているカメラの映像が流され、そこにはお弁当を万引きする男性の姿が映し出された。

 しかし、これは防犯カメラの映像ではなく、お弁当屋さんがYouTubeで勝手にライブ生放送をしている配信映像だった、と。


 そのお店では、据え付けたカメラで店内をずーっとYouTubeで生配信していたんだけど。

 もともとこれは、お客さんがお弁当の在庫を確認するための仕掛けだったそうなんです。

 これがネットで話題になって、売上が1.5倍になり、もっとすごいのは、万引き被害が10分の1になったと。

 まあ、驚くべきは「そんなに万引きがあったのか」ということなんだけど。

 これについて、お弁当屋さんは「ライブ配信を常に視聴者さんが見ていることが、万引き犯への抑止力になっていると思う」と語ったそうです。

・・・

 このニュース、僕、すごい面白いと思ったんですけども。

 面白いと思った理由が3つあって。


 1つ目が「なぜYouTubeで生放送をしているだけで、万引き被害が減るのか?」というところ。

 かつては、日本人が、というか、みんなが万引きをしない理由というのは、「そんなことをしたら “世間様” がどこかで見ている」とか、「神様が見ている」と思ってたんだけど、今やそういう世間様とか神様という抑止力がなくなって、法律くらいしかなくなってしまった。

 ところが、そういう「法律を守ること」も、そんなにクールなことではなくなってしまったので、まあ、食うに困ったらお弁当を万引きするくらい、当たり前になっちゃったと。

 その「神様が見ている」、「世間様が見ている」という時の神様・世間様の機能を、YouTubeというものが本当に果たしているということなんですよね。


 別に、その瞬間のライブ映像は、誰も見ていないかもわからないんだけど、YouTubeで流しているということは、最悪、将来誰かに見られることもありうるわけですよ。

 そのお弁当屋さんが、YouTubeの生配信の映像をどこまで残しているかわからないけど、ひょっとしたら1時間毎に分けたり早回しとかで、永遠に残すかもわからない。

 そう思ったら「これはエラいことだ」と思っちゃって、抑止力になるわけですね。


 次に「もし、YouTubeで弁当を盗んだところを誰かに見られて、それが拡散されてしまったら、一生言われる」と。

 昔だったら、「犯罪を犯したとしても、警察に行ったり、注意されたら終わりだ」というところから、もう今や、生涯に渡る烙印になってしまう。

 その人を判断する基準になってしまうんですね。

 つまり、1回の万引きが、その後の生涯全てをダメにしてしまう。

 昔々の中国の社会などで行われていた “人治社会” 、つまり「徳がある人が治める社会」。

 その次の、現代に続く “法治社会” 、つまり「やってはいけないことを法律で決めて、それを周知徹底して、破ったらそれに対してバツを与える社会」。

 これは、人治から法治へ移ったその次の、何か新しい時代のにおいがするんですね。

・・・

 3つ目に考えたことは「これからは、あらゆる場所をカメラで生配信することが当たり前になってくるんだろうな」ということなんですよ。

 これまで言われていた「あらゆる場所にカメラがある」というのは、「あらゆる場所に監視カメラがあって、僕らはそれに見られている」という “超監視社会” を想像していたんですけど。

 今回のやつは、お弁当屋さんが自分で勝手に「お弁当を在庫がわかるように」撮っていただけの映像なんですね。

 つまり “監視” 的な意味合いがほとんどない。


 同じように、そこら中にカメラをつけたとしても、民家が自分の家の庭に向けて撮ったり、自分の家の玄関に向けて撮ったりする限りは、全く非合法じゃないんですよ。

 今までも「自分の家の防犯用に玄関に向けてカメラで撮る」ということはあったんですけども、「それをネットで公開すること」って、誰も思いつかなかったんです。

 だけど、それを公開しちゃって生配信しちゃったら、どうなるんだろうか?

 あらゆる場所にカメラがあって、それが生配信されるようになったら?


 基本的に、社会の中で使われる高度なテクノロジーというのは、いつかは民間に落ちてくるんですね。

 自動翻訳だって、昔は専門家とか大学の研究室にしかなかったのに、今ではもうポケトークとかグーグル翻訳みたいなものを介して、誰でも使えるようになってきた。

 それも、無限に安く。


 僕、次に無限に安くなって、無料化するものって “顔認証” じゃないかというふうに思っているんですよ。

 よく、映画を見ていたら、たまたま監視カメラに写ったテロリストの顔の上に、バーっとポイントが出て「50数箇所適合した! こいつは〇〇に違いない!」みたいなシーンがあるじゃないですか。

 あれが一般に開放されてしまうんじゃないか、と。

 つまり、顔認証というテクノロジーを個人レベルで利用できるようになって、あらゆる場所にカメラが設置され、それが生配信されるようになったら、今は政府の諜報機関の人しか使えないような「渋谷のターミナルみたいなところで群衆を撮った映像の中から特定の誰かを見つける」ということを、普通の中学生が家のパソコンやスマホで出来るようになる。

 たぶん、そこまでは10年も掛からないだろう、と。


 そうなったら、たぶん、全ての人が “公人” になっちゃうんでしょうね。

 今は、一部の芸能人とか政治家とかは公人、つまりプライバシーがないと言われているんだけど。たぶん、全ての人がそうなってしまう。


 たとえば、僕がイタリアに行く時にも、成田空港、ソウル、ローマのダビンチ空港と、そのあらゆる場所にカメラがあって、それらが常に公開されているから、「岡田斗司夫はイタリアに行ったのか」と顔認証で検索したら、イタリアでの僕の行動が、ザーッと明らかになるというのが、もう当たり前になってしまう。

 2年や3年では絶対に来ないし、大阪万博の2024年や5年でも、まだ来ないだろうけども、その先には、きっとそういう時代が待ってるだろうな、という気がします。


 じゃあ、そういう時代になってしまったら、金持ちはそういうカメラがない場所に行くのか?

 撮られたくない人はカメラがない場所に行けばいいのかというと、そうじゃないんですよ。


 この万引きの例から考えてわかる通り「カメラがないような場所には危険で行けなくなる」んですね。

 カメラがあるからこそ、犯罪が抑止されているというのと、セットなんですよ。

 なので、「そういうふうな社会が今後くるかもわからないな」と思いながら、このニュースを見てました。

・・・

 YouTubeって、今、段階で言うと、第3段階にあると思うんです。

 第1段階のYouTubeというのは「誰でも映像をアップ出来る世界」ですね。

 第2段階は、平成の後半くらい。

 「みんなが本ではなく、YouTubeの動画から情報を得るようになった世界」です。


 「何かを調べるためにブログを読む」というのは、もう前の世代に生きていた30代以上だけで、30歳以下の人はみんなYouTubeで調べるというふうになってしまった。


 そして今、出て来ているのが、3段階。

 「安全管理のためにYouTubeに動画を公開することによって、みんながみんなを見るような相互監視の世界」になって行ったんですね。

 この、昭和には存在しなくて、平成に生まれたYouTubeが、令和という時代にはどうなるのかというと、犯罪もそうなんですけど、流行みたいなものも全てYouTubeから生まれるようになってくる。
 これ、現に今、そうですよね。


 さっき、カメラの話をしましたよね?
 
 僕らはまだ「カメラ」と聞いて、特定の方向を向いているカメラを考えるんですけど、3年くらい前から “360度カメラ” という、超魚眼レンズで360度全てを撮れるカメラが出ています。

 そういうものが、街のいろんなところとか、個人宅のいろんなところに取り付けられて、そこから解像度の高い映像がいつでも取り出せるようになっちゃったら、さっき言った監視社会みたいなものは完成するわけなんですね。


 で、そういう時代が来たとしたら、僕らは、顔認証で他人を追いかけるのではなく、自分を追いかけるようになるんじゃないかなと思うんですね。

 つまり “自分映画” を毎晩作れるんですよ。

 毎晩、家に帰った後とか、喫茶店でボーっとしてる時。

 「さあ、昨日から今までの俺の映像を見てみよう」って思ったら、世界中にある監視カメラとか、いろんな民間のカメラから、顔認証で自分の映像をザーッと抜けて、それを1時間とか30分くらいに編集したものを見て「ああ、俺の1週間を30分に編集したらこんな感じだったな」とか、「ああ、ここですれ違った女の子は、こんな子だったのか」とか、「ああ、俺、ここでちょっと飯食ってるわ」と。

 そんなふうに、個人個人が自分の映画を作るんじゃないかって。

 “日記文化” というのが、昭和の時代の日本にはあって、その日記文化が “ブログ文化” になった。

 だけど、ブログ文化は “YouTube文化” には流れなかったんですね。

 YouTube文化というのは、それらとは全く別のものとして存在していたんですけど。


 次の時代には、これが1つになってきて、究極の自分映画を見たり、もしくは究極の気になる人…

 …それはアイドルかもわからないし、近所の女の子かもわからないし、近所のちょっと怪しげなオッサンとかかもしれないけど、そういう人をずーっと追いかけていく。

 公共の場で公開されている360度カメラで撮ってるような映像を、自分で編集して、自分が気になる女の子とか、怪しげなオッサンをずーっと追いかけて、自分だけの映画として見ることは、違法でもなんでもないんだけど。

 なんか、そういう不思議なことをしていく社会になっていくんじゃないかなというふうに思います。


 いやあ、なんかすごいよね、社会の変化っていうのは(笑)。

 まあ、「テクノロジー」と、「その使われ方」と、「結果として、どんなことが流行るのか?」という、3つのものを予想しなきゃいけないんだけど、その掛け算ってもう無限だからさ。

 僕が言っていることも「僕はこう思うんだけど」という話に過ぎないんだけど。


 YouTubeの無差別ライブ配信と、顔認識ソフトというものが無料化して社会の中にどんどん広がって行くという。

 この2つは、わりとアリなことだと思っているので、恐ろしいですよね。


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林先生の初耳学


林修 + TBS = 嘘を嘘で重ねた嘘(デマ番組)

No.1 67ヶ月前

うーん…。たぶんそうはならないんじゃないかなぁ。やはり監視カメラってのは『信用出来る行政』とかが担保してくれている方が安心できると思う。(ナチスとかに監視されるのはご勘弁)
この例のような一般の場合だと、人気のある動画配信場所にあるカメラしか抑止力を発揮できず、人気が無い動画配信の場合は、普通に寂れた裏路地なんかと同じような治安にしかならないと思う。更にそれが数字で表れちゃうってのがね。発想は夢があって素敵だとは思う。リベラルの目指す先のような感じなのかな。

No.2 67ヶ月前

そこまでの完全監視社会になってしまうと、もう外で何もできないというか、相当息苦しいでしょうねえ。
犯罪は言うまでもないしそりゃやっちゃいけないんだけど、
じゃあそこまでいかない些細なマナー違反とか、偶然のレベルで人に迷惑をかけてしまったところとか、
ゲーセンとかパチンコ、あとはHなところですか。そういう行ってることを声を大にしては言いづらい程度のところにも近づけなくなりますね。

No.3 67ヶ月前

YouTubeやTwitterによる監視社会はまだ極論の域を出ない。
でも著名人の些細な失言や言葉尻を捕まえてネットリンチしている様を見ていると、ディストピアを作るのは権力者じゃなく市民そのものだとはしばしば感じる。

No.4 67ヶ月前

なんというパノプティコン化社会。先人の先見の明は確かだったな

No.5 67ヶ月前
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