マンション不動産投資は、区分所有と一棟所有に分けられます。そのうち今回は、区分所有に焦点を当て、そのメリットとデメリットについて、一棟所有の場合と比較しながら紹介していきます。

区分所有とは

区分所有とは、マンションやオフィスビルなど、一棟の建物が部屋ごとに区分され、別々に居住や商業施設・オフィスとして利用が可能であるような場合、各区分をそれぞれ所有することを指します。またその区分を所有する権利のことを区分所有権と呼びます。

区分所有では、区分を購入した人が独占的に利用可能なスペースは「専有部分」と呼ばれ、これに対して廊下やエレベーター、エントランス、階段など、すべての区分所有者・利用者が共同で利用するスペースは「共用部分」と呼ばれます。

マンションの区分所有者は、専有部分だけでなく共用部分についても所有権を持ち、その持分は建築物のすべての専有面積のうち、所有する専有部分の床面積の割合によって決定されます。また敷地についても共有持分を所有することになります。つまり区分所有者は専有部分の「区分所有権」の他に、共用部分の「共有持分権」と「敷地権」を含めた3つの権利を持つことになるのです。

一棟所有と区分所有の違いとそのよしあし

区分所有に対して、マンションやオフィスビルを一棟物件丸ごと所有することを一棟所有といいます。一棟所有のメリットは、複数の部屋を持つことにより空室リスクが少なくなることが挙げられます。また所有戸数が多いため、収益性が高いのも特徴です。さらに土地も入手できることから、万が一震災などによって建築物が倒壊してしまった場合でも、土地が残ることになります。リフォームや賃料の変更など、他の所有者との申し合わせが必要ないのも一棟物件のメリットであるといえるでしょう。

ただし、1階や北向きの部屋などの人気のない部屋も所有することになるデメリットも持ち合わせています。また購入には莫大な資金が必要であるため、空室率が高くなった場合など、高いリスクを抱えることも挙げられます。さらに場所が集中しているため、災害が生じた場合の損害が大きくなる傾向があることも覚えておかなくてはなりません。

区分所有のメリット・デメリット

区分所有の場合、購入に必要な費用が少なく済むという点が最大のメリットといえるでしょう。融資を受ける場合でも、少額であることから融資を受けやすくなります。またさまざまな立地に複数の部屋を所有することができ、災害リスクを分散することも可能です。さらに売却の際には、少額であることから買い手が見つかりやすいというのも区分所有のメリットです。

他方、所有する部屋が空室となってしまった場合、収益がゼロになってしまうのが大きなデメリットです。また建築物が老朽化してしまった場合に、リフォームや賃料の変更について独断が許されず、他の所有者との意見合わせを行わなくてはなりません。さらに、万が一震災によって建築物が失われてしまった場合、土地は持分しか残らないことも大きなデメリットといえるでしょう。

区分所有のリスクと回避秘策

区分所有にとって最も厄介なのが空室に伴うリスクですが、リスクを回避する方法もあります。まず重要なのが、企業の移転など想定外のことが起きやすい地方を避け、東京23区など人口が多くしかも安定した地域の物件を選ぶことです。

またファミリータイプよりもワンルームタイプのマンションの方が、空室リスクは回避しやすい傾向にあります。賃料の低さから収益こそ低くなるものの、入居者が退去した後でも次の借り手がつきやすいのが特徴です。

さらに新築やなるべく新しい物件に投資するのもリスクを回避する方法として有効となります。なぜなら、設備が時代遅れで耐用年数が短い古い物件よりも、長期的に安定した収入を期待できるためです。

経済状況や目的に合わせた手段を

今回は、マンションやビルを区分所有することのメリット・デメリットについて、一棟物件と比較して紹介してきました。