日銀による大規模な金融緩和により株高・円安・金利低下が進み、不動産投資が盛んになっています。不動産の貸出によって得られる所得は不動産所得となりますが、納税額がどのようになるか気になるところです。

脱税は違法ですが、不動産投資には節税に繋がる仕組みがいくつか認められています。その方法について確認していきましょう。

節税につながる!?不動産所得の必要経費とは?

課税対象となるのは不動産所得であり、不動産から得られる賃料そのままではありません。不動産所得は、総収入金額から必要経費を控除して求められます。総収入金額は不動産を運営することによって得られる収入ですから、賃借人から得た家賃収入、礼金などを指します。必要諸経費の範囲は広く、これらの経費を漏れなく適切に計上することが節税のポイントになります。

不動産収入から控除できる代表的な必要経費として次のものがあります。

・ 管理費
主に不動産管理会社に支払う管理費など

・ 修繕費
ドア、トイレなどの補修繕にかかる費用

・ 損害保険料
火災保険、地震保険などの保険料

・ 減価償却費
経年劣化していく固定資産を取得した際に、取得費用をその耐用年数に応じて費用計上することが可能

・ 公租公課
不動産取得税、固定資産税、都市計画税、印紙税などの税金

・ 借入金利息
借入金返済額のうち、支払い利息相当額は経費とすることが可能

・ 士業への手数料
登記や確定申告の際にかかった税理士や司法書士などの費用

・ その他
交通費、新聞図書費、交際費など不動産投資に関連して発生した費用で、社会通念上妥当と認められる範囲のもの

赤字経営でも節税!?

必要経費を適切に計上して不動産所得を小さくするのが上記の節税方法ですが、赤字経営となった場合でも、他の所得と合算して節税することができます。不動産所得は、損益通算といって他の所得との合算が認められているのです。

例えば、給与所得が500万円かつ不動産所得で100万円の赤字が発生した場合には、500万円から100万円を差し引いた400万円に対して所得税が課税されることになります。年度末に確定申告をすることによって、この100万円分にかけられていた税金の還付を受けることができるのです。

赤字では不動産投資を行っている意味がないのではと思われるかもしれませんが、キャッシュフローが赤字だからといって駄目な投資かというと一概にそうとも言えません。給与所得が大きい人が、損益通算で節税するために、キャッシュフローを最優先せず、減価償却費を大きく取れる物件を購入することもあります。

脱税はダメ!忘れないで確定申告

不動産所得がある場合には、しっかりと確定申告をして納税をしましょう。ただし、不動産所得と給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下で、給与所得について年末調整を受けている場合には確定申告をする必要はありません。しかし、不動産所得が20万円以下であっても、不動産所得の赤字を他の所得と損益通算をする場合には確定申告が必要となりますので、忘れずに確定申告をしましょう。

適切な節税に努めよう

不動産投資が過熱しているということもあり、国税当局は不動産所得の申告漏れに注意を払っていると言われています。特に必要経費の中で、接待交際費や交通費が高額な場合には、調査の対象となる可能性もあります。

適切な経費処理をしていれば問題になることではありませんので、適切な経費処理を行い、きちんと対応されることをお勧めします。