閉じる
閉じる
×
夏の主役2人を大分析! JRA移籍1年目のミルコ・デムーロ騎手(36)とクリストフ・ルメール騎手(36)が、日本の夏競馬に初参戦している。ともに7月の勝率20%超の「夏男」。プロフィルや条件別成績から腕の長さに至るまで、保存版の詳細データを比較して攻略法を探った。夏の中京でいきなりリーディングを獲得したミルコの“買い時”は<1>芝<2>中距離<3>内枠。今年の勝率首位のルメールは条件不問の安定感が特徴だ。
JRA移籍1年目のミルコ・デムーロ騎手(左)とクリストフ・ルメール騎手
ルメールはオールマイティーだ。芝・ダート、距離、コースなど、条件が替わってもアベレージに大きな変動がない。「いい騎手は、どこに行ってもいい結果を出さないといけないと思う。アダプト(適応)しないと」。苦手がなく、安定して優れたパフォーマンスを発揮できる。今月4、5日には初騎乗の福島でラジオNIKKEI賞など6勝を挙げ、適応力の高さを見せつけた。馬券を買う側からしても、常に信頼を置ける存在といえる。
JRA移籍後は輝きを増すばかりだ。今年の勝率18・7%、連対率31・9%、複勝率45・0%はいずれも全騎手のトップに立つ。「フランスの競馬場はターン(コーナー)が不規則でシャープ。時々怖い。日本では問題ない」。母国で磨いてきた技術を存分に発揮。4月から騎乗を開始したにもかかわらず、年間100勝を超えるペースだ。
夏を迎え、手綱さばきはさらにさえわたる。7月は4週間で14勝。月間で勝率20・3%、連対率37・7%と数字がアップしている。「フランスはドライで、日本は蒸し暑い。でも暑いのは好き」。炎天下にあって、表情も頭脳もクールだ。今週からは札幌中心の騎乗となる予定で「ファーム(牧場)にも行きたい」と瞳を輝かせる。レッドリヴェールと挑むクイーンSで、北海道デビュー即重賞Vを狙う。
M・デムーロとルメール 両騎手の条件別成績
ブラウンの髪を汗にぬらし、ミルコが日本の夏を戦っている。「暑いのは好き。日本の夏はヒューミッド(湿度が高い)。フロリダに似てる」。かつて騎乗した常夏の地を引き合いに、蒸し暑さも笑い飛ばす。先週は中京記念Vを含め一気に5勝。逆転で夏の中京リーディング(11勝)を獲得した。初参戦の夏競馬でも輝きは鈍らず、7月は14勝で勝率20・9%をマーク。馬券作戦においても目が離せない存在になっている。
“買い時”は<1>芝<2>中距離<3>内枠だ。本人は「日本のコースはどこでも好き。芝もダートも大好き。距離もどれでも大丈夫」と意に介さないが、ルメールに比べて得意条件が明確だ。
<1>芝 勝率、連対率、複勝率のすべてでダートを上回る。特に顕著なのが勝率で、ダートの12・6%を5%近くも上回る17・5%をマーク。芝での勝負強さが際立つ。JRA重賞36勝もすべて芝のレースだ。
<2>中距離 距離が延びるほどアベレージが上がる傾向にある。芝1800メートルで勝率26・6%、芝2000メートルで同18・1%と、中距離は大の得意だ。
<3>内枠 1枠に入った時は勝率20・5%、連対率37・8%、複勝率46・6%と驚異的な数字を残している。白帽をかぶったら要注意のサインだ。
今週からは新潟を中心に騎乗する。左回りで好成績を挙げており、初コースも苦にしそうにない。直線重賞のアイビスサマーダッシュではベルカントとコンビを組む予定だ。勝率の高い小倉への参戦も待ち遠しい。ホットなイタリアンが、日本の夏競馬をさらに熱く盛り上げる。【取材・構成=太田尚樹、辻敦子】