強豪集結の札幌記念(G2、芝2000メートル、23日)に小島太厩舎からダービーフィズ(牡5)、ディサイファ(牡6)が出走する。幾多の名馬を育て上げた小島太師(68)がほれ込む逸材2頭が、いよいよ才能開花。13日に天国へ旅立った先輩マンハッタンカフェのように、北の大地からG1馬への道を歩む。
札幌記念に出走するディサイファ(左)とダービーフィズ
札幌の調教スタンドには眼光鋭い小島太師の姿があった。ダービーフィズとディサイファ。大雨の火曜朝、コースから上がってきた馬へ駆け寄り、スタッフに「いいな」とうなずいた。
函館記念で重賞初制覇のダービーフィズは5歳夏の札幌で完成期に突入だ。「マンハッタンカフェと結び付けようってのはあれだが…、この血統は間違いなく奥手」。3歳夏の札幌で富良野特別(500万)、阿寒湖特別(1000万)を連勝し、秋に菊花賞、有馬記念で大輪の花を咲かせた母の全兄マンハッタンカフェの成長力が重なる。前走後は社台ファームで乗り込みを消化。「本当に元気がいいんだ。サマー2000シリーズ王者を狙いたい」と期待を隠さない。
先週のエルムSはマンハッタンカフェ産駒が2、3着。おいっ子が結果を出す番だ。「軽い走りだけど、洋芝は合う。お姉さん(全姉アプリコットフィズも札幌でクイーンS制覇)もそう。前走みたいな競馬ができれば」。重賞騎乗機会5連勝中の岩田騎手とともに快勝のシーンを思い描く。
ディサイファはエプソムC3着から、2戦2勝(ともに函館)の北海道へ。「6歳だけど、3歳にしか思えない。今の心境は、クラシックに間に合わなかったなあ~、ぐらい。まだまだこれから。こっちの血統もすごいんだ」と力説する。
小島太師は、03年サクラプレジデント以来の札幌記念Vを狙う。「2頭とも奥手で俺と一緒。俺だって68歳でやっと色気が出てきたよ」。周囲の笑いを誘いながらも、表情は真剣だ。北の大地から、G1への道が始まる。【木南友輔】