ぼくはローマ史とセザンヌを専門的に勉強したわけではない。したわけではないが、この二つの大いなる魅力の片鱗についてなら、多少ではあるが分かっているつもりだ。
そこで今日は、ローマ史とセザンヌについて考えてみたい。

まずローマ史についてだが、ぼくが離婚して落ち込み、心機一転小説家を目指していた頃、一人で孤独だったのでいつも本を読むことでそれを癒やしていた。しかしお金がなかったから、いつも近所の古本屋に行って面白そうな本を見つけては、ずっと家で読んでいたのだ。

当時は、暖房代もなかったから、冬になると風呂を入れ、その中でひたすら本を読み続けていた。風呂場というのが一番暖房代がかからなかったし、健康にも良かったので一石二鳥だった。

さて、そんな時代にぼくは塩野七生さんの『ローマ人の物語』を読んだ。はじめはカエサルへの興味からだった。カエサルというのがどういう人物かに興味があったのだ。
ちょうど文学