ハックルベリーに会いに行く
トヨタ生産方式について考える:その23(1,689字)
工場は、産業革命によってたまたま生まれ、広まったものだが、しかしこの工場こそが、現代文明を破格に押し上げた一番の立役者かも知れない。
19世紀の後半から20世紀の前半にかけて、科学が急速に進歩した。それによって近代化がなされたように思われがちなのだが、しかし実際のところ、例えば蒸気機関などはもっと以前――18世紀には発明されていた。そのため、それが効果的に活用されるまでには、なんと100年もの歳月を要したのだ。
そう考えると、必ずしも科学の進歩だけが近代化に決定的な影響を与えたのではないと分かる。それと同等かもしくはそれ以上に重要なのが、もしかしたら工場だったのではないだろうか。
なぜなら工場では、そこに働く人々が決定的に変化するからだ。決定的に成長する。近代人として長足の進歩を遂げる。それこそ近代人に生まれ変わる。人類を近代人に生まれ変わらせた場所、あるいは装置こそ、工場だったのである。
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