お金の特性として、両替や関税はなるべく少なくした方が経済が活性化し、結局人々のためになる――ということがある。しかし通貨だけ統一し、そこに政治的な国家の壁が残ったままだと、ドイツとギリシアのように格差が生まれてしまう。ドイツが得をし、ギリシアが損をしてしまう。

これを回避するには、通貨を別々にするか、国家を統一するかしかない。しかし、ドイツとギリシアが国家として統一し、同じ国民になるというのはなかなか現実的ではない。

なぜか?
それは、人々が国家という共同幻想を信じているからだ。その枠組みをいまだに必要としている。

本来、国家なるものは物理的には存在しない。それはあくまでも幻想だ。
しかし今なお、多くの人がそれを認識できない。こちらはお金と違って、幻想を抱いたままの人が少なくない。

お金の方は、共同幻想が解けつつある。だから、クレジットカードやキャッシュレス決済などの信用取引が拡大した。