ハックルベリーに会いに行く
マンガのはじまり:その32(1,689字)
近藤日出造は、読売新聞に連載された政治風刺漫画が人気を博し、見事に復活する。特に、自分が支持する吉田茂が首相になってからは厭世観も抜け、しばらく安泰に過ごしていた。
しかしながら、そんな近藤に新たな不安の種が宿る。それは手塚治虫が登場し、新しい漫画をヒットさせたことだ。特に、赤本をヒットさせたことだった。
赤本は、手塚が一番人気だったが、それ以外の数多くの漫画家も描いていた。ただしその内容は、子供におもねった低俗なものがほとんどだった。戦争直後であるにもかかわらず(いやだからこそか)、時代劇やスパイものの「殺し合いアクション漫画」がブームとなったのだ。
近藤の息子も、ご多分に漏れずそうしたマンガの大ファンで、父の描く政治漫画にはほとんど興味を示さなかった。近藤は、そんなふうに息子が自分の作品に関心を示さなかったからというわけではないが、ただの殺し合いが延々とくり広げられる低俗な赤本漫画には
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