千利休の業績と影響はとてつもなく大きく、その弟子たちもまた活躍した。彼らは利休七哲などと呼ばれた。

このうち、よく名前を挙げられるのが古田織部である。彼は、利休の「人の真似をするな」という言葉に従い、そのマインドは継承しつつも、師匠とは趣の違った自分なりの趣味というものを押し出し、茶人として大成していった。

それはマンガ『へうげもの』で紹介され現代人にも知られるところとなったが、一言でいうと「ケレン味がある」というものだ。例えば、利休ははからずも歪んでしまった陶器の茶碗を「侘び寂び」あるいは「ケレン味がない」ものとして好んだが、古田織部は逆に、作るときにわざと歪ませ、その数奇さを楽しんだ。

古田織部の好んだ茶室や茶庭も、千利休のようにぎりぎりまでバランスを突き詰めた精神性の高いものではなく、型破りの、戯画的で、アバンギャルドなものだった。いうならば、古田織部は利休の「アンチテーゼ」あるいは