今、NHKのBSプレミアで、アメリカの著名な映画監督であるオリバー・ストーンが、歴史学者のピーター・カズニック教授と共同制作した「もうひとつのアメリカ史」というテレビ番組が、全10回シリーズで放送されている。これまで7回にわたって放送され、今週、残りの3回が放送される。

その内容はというと、これまでアメリカが喧伝してきたような「アメリカ史」は大きな誤りであって、アメリカの「正義」や「自由」は虚飾に彩られたものだった――と、膨大な映像資料を積み重ねながら、こつこつと、静かな、しかし力強い言葉で告発していく――というものだ。

こうした歴史観は、アメリカ以外の国ではすでにお馴染みであるともいえるが、それをアメリカ人が、アメリカのテレビ局で発表したというのは重要なことだ。なぜなら、これまでの「強くあらねばならない」という考え方を国是とするアメリカでは、考えられないことだったからだ。

そのため、この番組を見ることは、アメリカの大きな変化というものを目の当たりにすることにもなるのである。ぼくは、これまでの7回の放送を見て、20世紀におけるアメリカという国の影響の大きさと、またその時代の異常さというものを、あらためて認識させられたのだった。


ところで、ぼくは近頃、歴史というものについてよく勉強している。歴史が最も興味があるし、歴史が最も面白い。
それだけではなく、歴史が最も役にも立つとも思っている。歴史を学ぶことは、ぼくにとっては欠かせないこととなっているのだ。

そのため最近では、「なぜぼくはこれほど歴史を学びたいと思っているのだろう?」ということを考えていたのだが、そこでちょうど、学問としての歴史の意味というものが見えてくる機会があった。
そこで今回は、なぜ歴史はこれほど重要な学問なのか、またなぜそれを学ぶ必要があるのかということについて、書いてみたい。


それは、ぼくが講師を務めるお笑い養成所「ワタナベ・コメディ・スクール」の卒業生と話している時だった。
ふとした折に、映画「イージー・ライダー」の話になった。そこでぼくが「『イージー・ライダー』を知っているか?」と尋ねると、彼は「知らない」という。そこでぼくは、今度は「『超新塾』というお笑い芸人を知っているか?」と尋ねた。すると、今度は「知っている」ということだった。