Phychopath714さん のコメント
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結論からいうと、それは「小説の絶対的な面白さ」を学ぶためである。 小説には、「絶対的な面白さ」がある。それは、ぼくが40年間、小説についてのさまざまなことを学んできた中で、知ることのできた真理の一つである。 しかしながら、この考え方はなかなか共有されていない。特に、若い人に共有されていない。 先日も、とあるラノベ作家志望の若者と会う機会があって、「何かアドバイスはありますか?」と尋ねられたので、「古典を読むことだ」と答えたのだが、分かったような分からないような顔をされた。 それで、「古典を読むのは嫌いですか?」と尋ねたところ、「ぼくの書きたい小説は、現代の読者に訴える新しい小説なので、古典を読んでも意味がないと思ってしまう」ということだった。「それ以前に、そもそも古典に全く興味がないので、読むことそのものが苦痛である」とも言っていた。 それでぼくは、(もちろんそう思うことは自由なのだが、それでは作家
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。
現在の市場では確かに、何度も読み返したい面白さを求められてはいないかもしれません。
しかし、それはラノベ出版社側の都合であって、我々読者は違うはずです。どうせお金を払うなら、いつまでも読み返し楽しめる作品の方がいいでしょう。ラノベだけは例外という考え方は、ライトノベルという文学大系の衰退につながりかねないと思います。今はそれで通用していますが、このままラノベが消耗品市場を続けていればいつか破綻します。流行には山があれば谷があるのですから。谷に入った時、自力で這い上がれるのは本当に面白い作品だけであることは間違いないでしょう。
そして、アニメ化などのメディアミックスについても問題点があります。
確かにメディアミックスによって作品の認知度が上がれば、売上は伸びます。しかしそれは、例えれば徒歩からバスに乗ったようなもので、いつかは降りて再び徒歩に戻るものです。連載中ずっとアニメが続くわけがないのですから。そうなった時も売り上げが保てるかどうかは、その作品の面白さ次第です。
それに私は、アニメ化やらを念頭に置いて小説を書くことも間違いだと思います。面白いからアニメ化するのなら分かりますが、アニメ化したら面白くなるように書くというのはいかがなものでしょうか。もちろん全てのラノベがそうだとは考えませんが、メディアミックスに頼った小説を書くのは、原作読者に対して裏切りにも近いものがあると思うのです。
それに、本当に面白い作品は、ラノベであっても書店にいつまでも並び続けます。「しにがみのバラッド。」や「ブギーポップ」などの作品は、ほぼ十年前に発表された作品ですが未だに中型書店などで取り扱われていますよ。
「一期一会で楽しんでくれればいい」という意気込みで書かれた小説を、私は読みたいとは思えません。
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