ハックルベリーに会いに行く
受験勉強が役に立ったという話(1,729字)
ぼくは、大学は東京芸大の美術学部に進んだが、幼い頃、必ずしも絵を「描く」のが上手かったわけではない。ただ、目は良かった。物事を正しく見る能力に長けていた。だから、何もしなくても他の子より絵が上手かった。他の子たちは、まず「見る能力」に欠けていた。それで、小学校に上がるくらいまでは誰よりも絵が上手かった。
ところが、小学校に上がるとぼくより絵の上手い子がぽつぽつ現れるようになる。それは、絵を描くのが好きな子たちだ。そういう子は、「描く技術」でぼくを上回った。ぼくはあまり描かなかったので、技術がなかなか伸びなかったのだ。
それに、そもそも絵を描くことも好きではなかったので、やがてほとんど描かなくなった。そうして、以降は高校まで絵を描かなかった。
ところが、高校一年生の終わり、大学受験をどうするかという話になったとき、成り行きで東京芸大を受験することになった。そのため、そこからあらためて絵の勉強
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