ハックルベリーに会いに行く
教養論その9「面白がり方」(1,712字)
面白さの見つけ方――つまり「面白がり方」というのが、哲学的な感度、引いては教養の高さにつながる。面白がり方が上手くなればなるほど、哲学的な感度が磨かれ、教養が高まる。
赤瀬川原平氏の本に「印象派の水辺」というものがある。
印象派の画家の絵を見ながら、彼らが描いた「水」の表現がいかに面白いか――を解説している。
この本の面白いところは、それまでは抽象的だった「絵の面白さ」に、はっきりと言葉が与えられていることだ。その意味では、これも一つの「命名」といえる。言葉が与えられていなかったものに言葉を与えることこそ、命名の本質なのである。
この本を読むと分かるのだが、赤瀬川原平氏は印象派の画家たちが描く絵の中に、普通では気づかないような「面白さ」を見つけ出している。それは面白さを「えぐり出す」という表現がぴったりくる。仏師は、木を見るとその中に埋まっている仏像の姿が「幻視」できるという
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