ハックルベリーに会いに行く
教養論その16「アナロジーの強度」(1,838字)
昔、ジブリのドキュメンタリーを見ているときに、宮崎駿さんが若いアニメーターに対して、肉を食べたときの動画の描き方を指導している場面があった。そのとき、宮崎さんは食いちぎった肉がブルブルと震えるように描くことを教え、その後こう言ったのである。
「ね、こうすると美味しそうに見えるでしょ。これが、この世の秘密の一つだよ」
ぼくは、その言葉が心に引っかかった。どうしてかというと、宮崎さんは、この世を読み解く秘密が存在する――問題解決の糸口が一点に集中するような「鍵」の存在を、感じていると知ったからだ。
ぼくも、そういう「鍵」の存在を信じている。そして、その「鍵」を探すことこそ、知の探求の本質だと考えている。知の探求というのは、言い換えると「教養を深める」ということだ。だから、宮崎さんがいうところの「この世の秘密」を探ること、すなわちこの世界を読み解く鍵を探すことは、教養を深めることと同義なのだ。
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