結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年7月10日 Vol.328
はじめに
結城浩です。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
ここ数日、記録的豪雨のために各地で大きな被害が出ています。被害に遭われている方々にお見舞い申し上げます。
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「数学ガールの秘密ノート」アンケートのお願いです。結城浩が毎週金曜日に更新しているWeb連載「数学ガールの秘密ノート」は第230回となりました。みなさまの応援を感謝します。今後の執筆の参考にさせていただくため、七つの質問からなる簡単なアンケートを用意しました。ぜひご回答ください。
◆「数学ガールの秘密ノート」アンケート
https://bit.ly/2KFOSrn
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最近、スケッチブックに万年筆で文字を書くのが好きです。紙のざらざらした感触が見えるのが特に好き。Instagramの編集機能で明るさや色調を少し整えるのも楽しいですね。文字を書いていると気持ちが落ち着きます。
スケッチブックにはこんな感じで書いています。ページをゆったり使っています。
数字のまわりの図形に何か意味があるわけではありません。そこまで描いた図形をながめて、思いついた図形を描き足していくのです。何が正しい、何がテーマであるといった考えとは無関係の即興描画ですね。
◆結城浩のインスタグラム
https://www.instagram.com/hyuki0000/
それでは、今週の結城メルマガを始めましょう。どうぞごゆっくりお読みください。
目次
- 上司への質問が難しい - 仕事の心がけ
- 受験生のスケジュール管理で大切なこと - 学ぶときの心がけ
- 数学書に直感的なことが書かれていない理由 - 学ぶときの心がけ
- 「打ち合わせ資料」を用意する理由 - 仕事の心がけ
- 人生で最初のデートにアドバイス
上司への質問が難しい - 仕事の心がけ
質問
自己の判断で作業をして、ミスをしてしまうことがあります。そのとき上司からは「何で質問しなかったの?」と言われます。
わからないことを質問しようとすると上司から「そんな簡単なこと?自分で考えなよ」と言われます。
最近は質問をするのもこわいです。簡単な質問はいけないことなのでしょうか。
回答
ご質問ありがとうございます。
これは、あなただけの話ではなく、たいへん多くの社会人が感じていることです。質問しないで失敗すると怒られ、質問しにいくとうとまれるので、困り果ててしまうというケースを多数知ってます。
あなたが仕事に熟練していれば、質問の塩梅もわかるはずですよね。何が易しいことで何が難しいことなのか。何が通常のことであり何が例外的なことなのか。それをよく知っているならば質問をすべきかどうかの判断はできるでしょう。でもそれは仕事に熟練していればです。
上司が「簡単なこと」といえるのはすでに経験をしているからであって、また熟練していないあなたが「質問すべきか否か」の判断がうまくできないのはいわば当然のことといえます。ですから、質問をすること自体はいけないことではありません。質問をして答えを知り、さらには自分で考えて熟練していくのですから。
ところで、実は上司も同じ状況に陥っている可能性があります。あなたが仕事に熟練していない部分があるのと同じように、上司も「部下を育てる」という仕事に熟練していない部分があるということです。あなたが仕事をうまくこなせないで悩むように、上司も「部下を育てる」仕事がうまくこなせないところでイラついている可能性があります。
言葉遣いひとつを取ってもそうです。あなたが質問に来たときに「質問をするのはこわい」とあなたに思わせず、自分でよく考えるように指導する……そのような「仕事」をできる上司ならば部下はどれほど自分の仕事がしやすいでしょうか。
要するに、あなただけが問題なのではなく、あなたと上司の両方が抱えている問題と考えることができます。もっともいい解決策は、互いに自分の仕事に熟達することです。でもそのためには、互いに問題を認識した上で、相互理解と情報交換が必要になりますけれどね。
どこかのタイミングで、あなたがいま感じている気持ちを適切に上司とシェアできるか否か。仕事を進めるというのは、あなた一人の問題ではありません。会社で複数人が協力して仕事を進めているわけですから、あなたひとりの問題ではありません。上司をはじめ組織全体とも関わりがあることです。
職場は、あなたをいじめる場所ではありませんし、上司がえらそうに振る舞う場所でもありません。組織の構成員が協力して問題解決にあたり、活動をしていく場です。構成員同士の信頼関係と必要なコミュニケーションがあってこそ、その場はよくなります。
いいタイミングを見つけて、上司と話しましょう。
以上は、半ば理想的な職場を想定した回答になります。でも現実問題としてはそうそう簡単な話ではありませんね。働く人のことをそれほど細やかに組織なり上司がケアできるとは限りませんから。自分が自分をどれほど上司や職場に適用させていくか(あるいは見切るか)の判断は大事です。そのためには、職場の同僚との情報交換や、社外で同じような立場にいる人との情報交換が重要になってくるかもしれません。
よいお仕事ができますように。