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Vol.406 結城浩/文系のプログラミング/心配事に心がとらわれて/学ぶための対話を誰に届けたいか/計画の見直し/大学一年生、人生の方向を模索中/
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Vol.406 結城浩/文系のプログラミング/心配事に心がとらわれて/学ぶための対話を誰に届けたいか/計画の見直し/大学一年生、人生の方向を模索中/

2020-01-07 07:00
    Vol.406 結城浩/文系のプログラミング/心配事に心がとらわれて/学ぶための対話を誰に届けたいか/計画の見直し/大学一年生、人生の方向を模索中/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2020年1月7日 Vol.406


    目次

    • 文系でもプログラミングは可能か - 学ぶときの心がけ
    • 心配事に心がとらわれてしまう - 心の健康
    • 『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』を誰に届けたいと思って書いたのか - 本を書く心がけ
    • 計画の見直しがうまくいかない - 仕事の心がけ
    • 大学一年生、人生の方向を模索中

    はじめに

    結城浩です。

    いつもご愛読ありがとうございます。

    2020年最初の「結城メルマガ」です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

    * * *

    買い物メモの話。

    結城は買いたいものがあるときに、iPhoneの音声アシスタントSiri(シリ)を使ってメモします。

    「ヘイ、シリ! パイナップルとほうれん草、メモを書く」

    こう叫ぶと「パイナップルとほうれん草」という項目がメモに追加されます。Siriへの指示に慣れるまではなかなかうまく行きませんでしたが、何回か練習したらスムーズに買い物メモが書けるようになりました。何事も練習ですね。特に、水仕事などをしているときに音声で買い物メモが書けるのはたいへんありがたいです。

    夕方、スーパーで買い物するときにiPhoneを開き、そのときまでに自分がSiri経由で書き込んでいた買い物メモを見ることになります。

    ところである日、買い物メモにこんな項目がぽつんと書かれていました。

    「リンゴ青梅」

    これは何だろう……と一瞬私は悩みました。さて、この買い物メモは何?

    答えは後ほど。

    * * *

    数学ガールハックの話。

    光が丘オープンソースクラブさん(@hkr_osc)はときどき「数学ガールハック」というハッシュタグでツイートをしています。結城の「数学ガール」シリーズに出てきた題材をプログラミング言語環境Scratchで実装したようすを紹介してくださっているのです。先日は「ベクトルの和と差を動画で表現するツイート」をなさっていたのでご紹介します。これを見ていると、aとbのベクトルの差が、aと-bのベクトルの和である様子がよくわかります(aと-bが作る平行四辺形の対角線になっているから)。

    ◆スクリーンショット

    20200106091309-f0b43613ef12e9d7.png

    ◆光が丘オープンソースクラブさんのツイート
    https://bit.ly/2sRHUIV

    ◆ハッシュタグ「数学ガールハック」
    http://bit.ly/2QSa12P

    「数学ガール」シリーズを題材にして楽しんでいる方を見るのは、私まで楽しくなりますね!

    * * *

    ランダムに選んだ1秒で起きていることの話。

    コンピュータ科学者、ドナルド・クヌース先生の講演の中に「ランダムに選んだ1秒でコンピュータ内部で起きていることを完全に調べよ」という問題がありました。

    この問題は1989年に行われたIFIP 11th World Computer Congressの基調講演でクヌース先生が行ったもので、結城はSelected Papers on Computer Scienceという本で見つけました(p.164)。

    ◆Selected Papers on Computer Science (Csli Lecture Notes) | Donald E. Knuth
    https://www.amazon.co.jp/dp/1881526917/?tag=hyuki-22

    問題はこうです。

    Make a thorough analysis of everything your computer does during one second of computation. (1秒の計算中にあなたのコンピュータが行っているすべてのことを完全に解析せよ)

    1秒はたいへん短いみたいですが、コンピュータにとっての1秒は非常に長い時間です。なにしろその間に何千億もの命令を実行できるわけですから。

    講演の中でクヌース先生はその1秒はランダムに選ぶことを薦めています(それはそうでしょう)。また、植物学者がランダムな地域の植生を調べることにも触れていますね。

    一般論として「ランダムサンプリングして、そこを詳細に調べる」というのは全体のようすを調べるよい方法です。なぜならランダムに選ぶことによって平均化がなされるからですし、また、ランダムに選ぶことによって調査範囲を限定する(つまり深く調べられる)ことができるからです。

    そういえば、チクセントミハイが『フロー体験』に書いている実験を思い出しました。それは被験者にベルを持たせ、それをランダムに鳴らし、そのときにどのような気分でいるか、何を考えているかを記録させる実験です。これもまた、ランダムサンプリングですね。

    ◆『フロー体験 喜びの現象学』チクセントミハイ著、今村浩明訳
    https://www.amazon.co.jp/dp/4790706141/?tag=hyuki-22

    もしもあなたが「自分の生活からランダムに選んだ時間に何をしているか」を調べたとしましょう。そこには何があるでしょうね。

    * * *

    買い物メモの答え。

    「リンゴ青梅」と書かれていたメモは、私が「リンゴ多め、メモを書く」とSiriに指示して書かれたものでした!

    私が「多め(おおめ)」と言ったのを、Siriは「青梅(おうめ)」と聞き取ったのですね。ということで、私はリンゴを多めに買って帰りましたとさ。

    * * *

    それでは、今回の結城メルマガもごゆっくりお読みください。

     
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