結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2020年4月21日 Vol.421
目次
- 「結城浩のもくもく会」を作りました
- 相手を想像する力
- 結論から話すのが苦手 - コミュニケーションのヒント
- やる気が出ない - 仕事の心がけ
はじめに
結城浩です。
いつもご愛読ありがとうございます。
結城は先週に引き続き、ずっと家にこもって仕事を続けています。意識して睡眠を取り、規則正しい生活をし、医療に負担をかける事態にならないよう努力しています。
日々、悲惨なニュースがやってきますが、心と身体の健康のため必要以上に悲観的にならないよう意識しています。
それにしても、社会を支えている方々には本当に感謝です。生活必需品の生産や流通に携わっている方々、もちろん医療現場で奮闘してくださっている方々が、無事に過ごせますように。
今週も、がんばっていきましょう。
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新刊の話。
『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』の初校ゲラの著者校正を編集部に送付しました!
五月刊行ではありますが、現在の社会情勢を考えますと出版時期も変更を余儀なくされるでしょう。はっきりした情報が来たところでアナウンスしたいと思います。
◆『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』(アマゾン)
https://www.amazon.co.jp/dp/4815606021/?tag=hyuki-22
◆『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』Web立ち読み版
http://ul.sbcr.jp/MATH-AFP7o
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「数学ガール」アンケート(2020年春)の話。
結城浩が執筆している書籍「数学ガール」や「数学ガールの秘密ノート」に関するアンケート(2020年春)を実施中。cakesのWeb連載のうち、早く書籍化してほしいシーズンや、これから結城浩に書いてほしい題材などをお尋ねしています。
質問は全部で9個。匿名での回答なので、お気軽にお答えいただければ感謝です。
◆「数学ガール」アンケート(2020年春)
https://mm.hyuki.net/n/n196b04749369
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では、今回の結城メルマガを始めましょう。
どうぞごゆっくりお読みください。
「結城浩のもくもく会」を作りました
「結城浩のもくもく会」というサービスを作りました。
◆結城浩のもくもく会
https://mokumokukai.hyuki.net
「結城浩のもくもく会」とは
「結城浩のもくもく会」は、
- 「いまから一時間、本を読みます!」
- 「一時間、本を読みました!」
のように活動開始や活動終了の宣言ツイートを手助けするサービスです。
結城はもともと、Twitterで「いまから本の原稿を書きます」や「第2章を読み返します」と作業を宣言することがよくあります。「結城浩のもくもく会」はそれを半分自動化し、みんなが使えるようにしたサービスともいえます。
「活動の宣言をしたかったら勝手にTwitterで宣言すればいいのだから、わざわざこんなサービスを使う必要はないのでは?」と感じるかもしれません。確かに各人が好きに宣言すればいいのですが、このようなサービスは無意味ではありません。
なぜなら、「結城浩のもくもく会」を通じてツイートすることで、定型化されたツイートを行うことができるからです。また「結城浩のもくもく会」というハッシュタグが自動的につきますので、それを頼りに検索できます。
◆みんなの宣言ツイートを検索する
https://bit.ly/2wVjCjq
宣言ツイートを検索することで「他の人は何をしてるんだろうか」とチラ見したり、「自分はこれまで何をやってきたのかな」と振り返ることができるのです。つまり、昨今のように、みんながそれぞれの家で個別の活動をしているにもかかわらず、あたかもみんなで共同で活動している仮想的な状況を作ることができるといえます。
実際、結城がこのサービスを公開してから、すぐにたくさんの方が使い始めてくださいました。たいへん感謝なことですね。
インスパイアされたもの
この「結城浩のもくもく会」の発想自体は特別なものではありません。
たとえば、IT技術者のあいだでは「もくもく会」と呼ばれる一種の勉強会は以前からありました。みんなが集まり、それぞれの作業を無言でもくもくと進める、ちょっと不思議な勉強会です。
でも、自粛が推奨されている現在の環境では、みんながリアルに集まって「もくもく会」を行うわけにはいきません。みんなが集うTwitterを利用してバーチャルな「もくもく会」を行うのは理にかなったことといえるでしょう。
また、「結城浩のもくもく会」のもとになった活動として「分報」というものもあります。これは、月報や日報のような活動報告を「分単位」(30分や1時間などの細かい単位)でおこなうものです。分報はSlackなどを使って、各人が自分の活動を報告するのです。
「分報」は非常にいい活動ですが、これを不特定多数の人で実行するのはなかなか難しいものがあります。ですから、通常は、親しい仲間のグループを作り、数人あるいは十数人という少人数単位で行うことが多いでしょう。
さらに、「結城浩のもくもく会」のもとになった企画として、YouTuberのQuizKnockさんが行っている「クイズノックと学ぼう」があります。
◆クイズノックと学ぼう
https://bit.ly/2VmZsYR
QuizKnockのメンバーたちは、いつもは一つの場所に集まって早押しクイズを初めとするたくさんの企画を行っています。でも最近は集まることが難しいので、各人の家から配信を行う工夫をしています。
「クイズノックと学ぼう」という企画では、クイズノックのいつものメンバーが勉強している様子を一時間配信しています(25分勉強+5分休憩+25分勉強+5分休憩)。その様子を見ながら、いっしょに勉強をしようと呼びかけているのです。
実際、人が真剣に学んでいる様子を見るのは大きな刺激になるものです。図書館でまわりがみんな勉強していたら、自分も何かやらなくてはと思うのに似ています。
「結城浩のもくもく会」は「クイズノックと学ぼう」のように時間を決めたりはしていませんが、根底にある発想は似ていると思います。「結城浩のもくもく会」でも、他の人の活動の宣言ツイートを見ると、自分でも何かやろうという気持ちになるからです。
ご利用にあたって
「結城浩のもくもく会」はツイートするためのTwitterのアカウントさえ持っていれば、無料で誰でも利用できます。Twitterアカウントを「結城浩のもくもく会」に登録する必要はありませんし、スマートフォンからでも使えます。
「結城浩のもくもく会」というサービスが行っているのは、定型文を用意することと、開始から終了までの時間を計測することだけです。ツイートの文章はユーザが自由に書き換えてからツイートできます。「結城浩のもくもく会」が勝手にツイートするわけではありません。
「結城浩のもくもく会」をどんなふうに使うかは、もちろん各人の自由ですが、ちょっとしたヒントを書いておきます。
まず、開始前に「具体的な活動」を決めた方がよさそうです。また「その活動にどれだけの時間を掛けるか」や「いつまでその活動を行うか」も合わせて考えましょう。つまり「一時間、本を読みます」や「12時まで、問題を解きます」のように決めるということです。
活動としては、「いつもなかなか着手できないこと」や「やらなくちゃいけないんだけど、おっくうなこと」をやると効果が高いです。
その理由は「結城浩のもくもく会」を使うと、時間を決めて活動できるので、成果物の達成量ではなく時間で一区切りが付くからです。着手がおっくうな原因の一つは、成果物がうまく目に見えないからだったりしますから、「結城浩のもくもく会」を利用して問答無用で一定時間着手しちゃうのです!
時間としては、「三時間」「四時間」といった大きな時間を宣言するのではなく、「15分」「30分」といった細かい単位を使うがうまくいくようです。
その理由は、長い時間を宣言してしまうとどうしても疲れるし、そんなに集中できないことが多いからです。そうすると一回限りで終わってしまう危険性が高くなります。ですから、細かい時間を繰り返し使って「小さいけれど確かな手応え」を味わうことや「着手できた喜び」を成功体験とした方がうまくいきます。
以上書いてきたことは、活動の内容や、自分の性格にも大きく依存することです。なので、結城が書いたようにしなければダメというのではありません。
誰から命令されているわけでもないので、各人がそれぞれに工夫して、自分に合ったやり方で利用していただければと思います。
家の中にこもって一人で作業するのはときにさびしいものですし、張り合いもありません。ついつい時間に流されてしまいがちです。この状況を逆手にとって、うまく自分の生活を豊かにしたいですね。
そのために「結城浩のもくもく会」が少しでもお役に立てばうれしいです。
いっしょに、この時期を過ごしましょう!
◆結城浩のもくもく会
https://mokumokukai.hyuki.net/
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