Vol.710 結城浩/AIエージェント大活躍/仕事に満足感がない/大学生、既知の授業が無駄に感じる/内定者、ミスで不安

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2025年11月4日 Vol.710


はじめに

おはようございます。

もう11月ですか! 早いですねえ。

今週のメールマガジンはまず、メモを書くときに箇条書きをやめてみた話からスタートします。文章にすると、細かいニュアンスや背景情報が失われずに済むんですよね。

そして今週もAIエージェントのクロコさん(Claude Code)との共同作業をご紹介します。RSSツールのメンテナンス、自動投稿botの更新、本棚システムの修理、原稿読み上げツールの作成など、さまざまな作業を一緒に進めました。素敵なパートナーです。

また読者さんからのさまざまなご質問に回答しています。「学ぶときの心がけ」では、大学の授業で既知の内容を聞く時間が無駄に感じるという読者さんからの質問にお答えしました。「仕事の心がけ」では、内定者の方からの課題送信ミスの不安について回答しました。最後に、仕事に満足感がないという漠然とした悩みについて、具体的に掘り下げることの大切さをお話ししています。

それでは今週も、どうぞごゆっくりお読みください。


目次

  • 結城浩の談話室
  • メモ書きで、箇条書きをやめてみる - 文章を書く心がけ
  • AIエージェントのクロコさん(Claude Code)と過ごす一週間
  • 大学生、既知のことを聞く時間が無駄と感じる - 学ぶときの心がけ
  • 内定者、課題の送信ミスで不安 - 仕事の心がけ
  • 29歳、仕事に満足感がないという漠然とした悩み - 心の健康

結城浩の談話室

2025年11月1日(土)の「結城浩の談話室」では、IT関連の会社でチームマネージャのお仕事をなさっている30代の男性とお話しし、進化していくAIについて思うところを語り合うことができました。

その後この方から、AIを仕事にどう活用しているか、多数のWebサービスの管理をどうしているか、セルフブランディングをどう考えているかなどについて多数の質問をいただき、結城の日々の活動と合わせてお答えしました。

ありがとうございました!

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結城は「談話室」という「ビデオをオフにした状態でZoomを使い、二人で自由におしゃべりするネット企画」を行っています。

◆結城浩の談話室
https://chatroom.hyuki.com


メモ書きで、箇条書きをやめてみる - 文章を書く心がけ

本を書いています。各章を書き進めていて、それぞれに懸念点があると感じています。題材は用意されているけれどまだ文章化されていないとか、題材がそもそも不足しているとか、他の章との兼ね合いが考慮されていないとか……さまざまです。

懸念点はたくさんあり、それぞれに対策が必要です。そこで各章の原稿ファイルの冒頭に懸念点の「箇条書き」のメモにしてまとめていました。でも、何となくしっくり来ません。箇条書きになったメモを読み返しても頭にスッと入ってこないのです。

そこでふと「箇条書き」をやめて「文章」として書いてみたところ、よい手応えがありました。メモを箇条書きとしてまとめてしまうと、形としては整うけれど細かいニュアンスや背景情報がぼろぼろと失われていたのかもしれないな、と思いました。

これについては何年か前に「ナラティブ」というキーワードを軸にメルマガでも書いたことがあります。経緯や背景を含めていま懸念していることを「未来の自分」に説明するようにちゃんと文章で書くのです。そうすれば、未来の自分がそれを読むときによく理解できる。考えてみれば当たり前のことです。

これに似た話題で「体言止め」の危険性があります。「●●の必要性」というメモを書いたのはいいけれど、ニュアンスが失われてしまうときがあるからです。「●●の必要性」で終わらせるのではなくて、もうちょっと一言補って「●●の必要があるけれど……で困っている」や「●●の必要があるので……に連絡したい」のような形にした方が(ちょっとだけ)よいと感じます。

たかがメモ書き、されどメモ書きです。自分が書いたメモを自分が理解できないなんて笑えません。「箇条書き」が悪いわけじゃありませんが、もしもしっくり来ないときがあるなら、メモ書きといえども「文章」にしてみるのは悪くない案だと思います。

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ナラティブについて書いていたのは2020年のことでした。

◆「ナラティブ」を書く - 仕事の心がけ(結城メルマガVol.385)
https://link.hyuki.net/mm385

◆今年(2020年)関わった五個のこと(ナラティブ、音声入力、作業ログ、Hey、Substack)
https://link.hyuki.net/mm435

おっと、この五個の項目は、五年後の今年(2025年)でもすべて有効ですね!