結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年11月5日 Vol.084
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
先日当選者4名に発送したサイン本は、無事に到着したようです。 当選なさった方、おめでとうございます。どうぞお楽しみください。
また結城が具合が悪くなったときにはサイン本プレゼントの企画をしようと思いますので、 お楽しみに(??)
結城はときどき読者プレゼント企画で書籍を送ります。 特に新刊が発売されるときには必ず読者プレゼント企画を実施しています。
梱包材に書籍を入れたり、住所を書いたりして発送準備をしていると、 自然と頬が緩んでにこにこしてしまいます。 普段はあまり意識していないのですが、自分で梱包していると、
「ああ、この本があの県やこの市に送られるんだなあ」
のように実感するんですよ。全国に自分の本を読んでくれる読者さんがいらっしゃる。 そのことを実感すると、胸の奥からじんわりと幸せな気持ちになる。 それで、にこにこしながら発送準備をすることになるのです。
* * *
映画の話。
「劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」を観てきました。 たいへんな人気なので、ネットでネタバレをうっかり見る前に観ようと思っていました。 フリーの身は自由(?)なので平日ちゃちゃっと観ましたよ。 これからごらんになる方もいらっしゃると思うのでネタバレになりそうなことは書きませんが、 何を書いてもネタバレになるので何も書けないですね。 しかし、体調が万全でないときには観るべきでなかったかもしれません……疲れました。
あ、書ける話題がありました。 結城は「魔法少女まどか☆マギカ」オープニングテーマの 「コネクト」という曲がたいへん気に入っています。 もともと女性ボーカルは好きなんですが、 この曲では「声」になんともいえない魅力を感じます。
歌っているのは現役女子中学生ユニットClariSです。 以下のアマゾンサイトで視聴できます。
◆コネクト - TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」オープニングテーマ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004DGD4AA/hyam-22/
「なんともいえない魅力」ではさっぱり伝わりませんね。 無理に言葉にしてみると「不安定さと危うさを持ちつつ突っ走る感じ」とでもいえるでしょうか。 その場に居合わせた自分も急いでいっしょに突っ走る必要がある、 そんな気持ちにさせられる曲と声だと感じました。
映画や音楽に限らず、多くの人をなぜか揺さぶるものに関心があります。 ベストセラーや人気のアニメなどを軽蔑する人も世の中にはいるみたいですが、 私はあまりそういうふうには思いません。
多くの人が魅力を感じるものには何かしらの理由があると思いますし、 それを単純に切り捨てるのはもったいないなとも思うのです。 もちろん、多くの人が魅力を感じるから正しいとは限りませんけれどね。 正しさや美しさは多数決で決まるものではないからです。
そんなふうに私は思っています。
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言葉の話。
Mediumというブログサイトが一般に使えるようになりました。 このMediumはTwitterの創業者Ev Williamsが作ったサイトで、文章を書き文章を読むことに重きを置いています。
◆Medium
https://medium.com
このサイトの精神は以下のA better place to read and writeと副題の付いたエッセイによく書かれています。
◆Welcome to Medium - A better place to read and write
https://medium.com/about/9e53ca408c48
これによると「Twitterのような短い文章ではなく、 もっと深い考えを言葉で表現しシェアするための場所を作った」ということのようですね。
さっそく、ひとつだけ記事を書いて感触を試してみました。 サイトの使い勝手は自分で使ってみないとわからないからです。
以下は、結城メルマガに書いた文章の一部を手直ししたもの。
◆LaTeX定番入門書『美文書』の最新版が刊行
https://medium.com/click-the-shutter/289fa4445e40
使ってみると、確かにシンプルな作りになっていて気持ちよく文章を書けると思いました。 画像を多数入れたり、凝ったレイアウトを求めたり、フォント弄りをしたい人には向きませんが、 普通の文章を普通に書くにはよいかもしれません。 ただ、日本語フォントの扱いがちょっとおかしいときがあり、 違和感を感じる部分もありました。
シンプルなデザインで、言葉を使って考えをシェアする場というのはすばらしいと思います。 それが実際にどれだけ実現できるかどうかは、 このMediumというサイトにどのような書き手と読み手が集まるかにかかっているでしょうね。
Webサイトのような「仕組み」は大事ですが、 その仕組みが書き手と読み手をうまく集めることができれば、 おもしろいことが始まるかもしれません。
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図形描画の話。
先日ThinkPadからMacBook Airにメインマシンを移しました。 そのいきさつはこの結城メルマガでも何回か書いてきました。
MacBook Airになると、必然的に使うツールも変わってきます。 現在のところ、次のように変わりました。
・テキストエディタ(文章)は「秀丸エディタ」から「Vim」へ。
・ペイントソフト(画像)は「Paint.NET」から「Pixelmetor」へ。
・ドローソフト(図形)は「Visio」から「OmniGraffle」へ。
ありがたいことにLaTeXを処理してPDFを作る部分はThinkPad(Windows)でも、 MacBook Airでも変わりません。
新しいツールで仕事をしながら使い方を身につけるのは なかなか大変ですが、真剣さが違うので習得は速いかもしれません。
特に気に入ったのはOmniGraffleです。 説明図を描くのに欠かせないドローソフトですが、 Visioに近い発想の部分もあり、比較的スムーズに習得できました。
先日、OmniGraffleの公式Webサイトを眺めていたら、 なんとビデオのチュートリアルがあるじゃないですか。 さっそく観ました。図形描画ソフトの使い方は、説明文を読んでもわかりません。 自分がいままで気づいていなかったボタンや機能も教えてもらい大満足です。
◆Omni Graffle Video
http://www.omnigroup.com/video/omnigraffle
「教える」シーンで、 このような短時間のビデオ活用はきわめて重要だなあと感じた次第。 まさに「百聞は一見に如かず」ですね。
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授業の話。
前回の結城メルマガから連載が始まった「数学ガールの特別授業」ですが、 そのもとになった高校のWebサイトに、結城の特別授業の様子がニュースに なりましたのでご紹介します。東海大学付属第三高等学校さんです。
◆SPP講座『フィボナッチ数の奥深き世界』の第三回講座を行いました
http://www.daisan.tokai.ed.jp/tokai3/news/20131029_1.html
◆数学ガールの特別授業
http://www.hyuki.com/girl/lesson.html
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Macの話。
結城はMac初心者なのでTwitterなどで臆面もなく「教えてクン」になっています。 優しいフォロワーさんたちが丁寧に教えてくださるのに感激です。 ちょっとした操作方法の違いでも、作業効率に大きく影響するので重要です。
「教えてクン」をやっているだけではまずいので、 教えていただいた分についてはブログ(はてなダイアリー)にまとめるようにしています。 まとめることで自分の記憶にも定着しますし、 結城と同じような疑問を感じる人への助けとなることを期待しています。
最近の「教えて」は以下のようなものです。
◆MacでCommand+Tabキーを使って(アプリではなく)ウインドウを切り換える方法
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20131030/mac
◆Macのダイアログでキーボードを使ってボタン間のフォーカス移動&決定する方法
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20131001/mac
◆VimでLaTeXのファイルを編集するときのオートインデントを停止する方法
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20130921/vim
◆給電のためにPocket WiFiをMacにつなぐとFinderがフォルダを自動的に開くのをやめる方法
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20130806/mac
◆MacVimでコピーした文字列が自動的にクリップボードに入るようにしたい
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20130803/vim
Twitterで質問して答えをもらうやりとりはたいへん助かるのですが、 それはフローとストックでいえばフローになります。 蓄積されたものではなく、その場限りで流れていくものという意味です。 でも、いくつかのやりとりをまとめてブログの記事にすると、 フローがストックに変わります。
ストックになると再利用性が高まり、 他の人が(あるいは将来の自分自身が)その情報を活用できるようになります。 実際、マシンを変えたときなどには自分のブログ記事が環境再構築にたいへん役立ちますね。
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さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
今回のメインコンテンツはSoftware Designとのコラボ連載の「再発見の発想法」です。 それから読者さんの「Q&A」は「Evernoteの使い方」です。 結城がどんなふうに執筆にEvernoteを利用しているかをご紹介します。
どうぞお楽しみください!
目次
- はじめに
- 再発見の発想法
- Q&A - Evernoteの使い方
- 次回予告 - 数学文章作法