結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年3月25日 Vol.104
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。 いかがお過ごしですか?
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最初に大切なお知らせから。 みなさまご承知の通り、2014年4月から消費税が5%から8%に上がります。
それに伴いまして、この「結城メルマガ」も、 たいへん恐れ入りますが、来月から月額税込840円から864円と、 みなさまのご負担が実質24円アップしてしまいます。
今回は3月最後、増税前最後の号です。 月単位でご購読くださっている方がほとんどだと思いますので、 ご注意ください。よろしくお願いいたします。
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夢の話。
先日、夜にアイスコーヒーを飲んだせいか夜中にこわい夢を見て目が覚めました。 こわい夢といっても(起きてみれば)大したことはなかったんですが……
【夢】 たった一人で試験を受けている。 試験時間がいつまでか知らないし、時計が三つもあってどれが正しい時刻かわからない。 国語の試験だ。問題文は縦書きで、読んでもさっぱり頭に入ってこない。 いまにも試験時間が終わりそうだし、問題文の意味がわからないので解きようがない。 まずいなあ、まずいなあ……と焦っている。
こうやって改めて文章に書いてみると、 その夢を見ていたときの切迫した感じはまったく伝わらないですね。
アイスコーヒーで神経が高ぶったためだと自己分析しているのですが、 そこに出てきた「試験」や「時計が三つ」や「問題文が頭に入らない」というのは いったい何の比喩なんだろうと考えてしまいます。
まあ日常的に文章を書く仕事をして〆切があるわけですから、 国語の試験の夢をみてもまったく不思議ではないのですけれど、 何かしら特別な意味を考えたくなってしまいますね。
ちなみに、結城はすごく早く寝てしまうことがあり、 そんなときには夜中自然に目覚めてしまいます。 そういうときって、家人はみんな深く眠っていて、 自分もわざわざ起きてコンピュータを起動する気にもなれません。 多くの場合、結城は「夜、眠れない人のために祈る」ようにしています。
人間は誰しも、生活の中でいろいろ辛いことや悩みごとで 眠れなくなることはありますよね。 結城もふだんは寝付きがいいほうですが、 それでもうまく眠れない時期もありました。
ですから、夜中目覚めたときには、 心の中で静かに「眠れない人のために祈る」ようにしているのです。
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先日、家内の誕生日でした。
誕生日の夕方、結城は花屋さんで小さな花束(ブーケ)を買って帰りました。 いつも仕事仕事原稿原稿ばかり言って家庭をないがしろにしがちなので。
帰宅して花束をぱっと出し「お誕生日おめでとう!」と言うと、 家内は目をうるうるさせて感激してくれました。 こんなに喜んでくれるなら、買ってきたかいがあるなあと思いました。
ところで結城は家内に花束を買って帰るというのが実は大好きです。 今回は小さな花束でしたが、大げさな花束を持って電車に乗るのが好き。 周りの人から(うわ、でかい花束……)と思われるくらいのが好き。 視線を意識して、花束を意識していると同時に家内を意識するからでしょうか。
ありがたいのは、家内がきちんと「言葉に出して」喜んでくれる点。 「ありがとう」というだけではなく 「花束をもらうのはとてもうれしい」と明示的に言ってくれるということです。 私としてはそのように明示的に言ってもらうと安心して 「そっか!よし次回も花束を贈ろう!」と思えるのです。
ちなみに、現在未婚の男性諸氏へのお勧めページとして、 結城が書いた「女性とおつきあいをするときの心がけ」というものが以下にあります。 結城と波長の合いそうな理系男性・プログラム大好き男性にはお勧めのページです。 女性は見ちゃダメです!(うそです。女性もぜひお読みください)
◆女性とおつきあいをするときの心がけ
http://www.hyuki.com/dig/lady.html
まあ、余計なお世話という気もする文章ですけれど……
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子育て、というか子供の学習の話。
先日こんなページを読んでいました。
◆「エビデンスベースト」が日本の教育を変える〜中室牧子氏に聞く
http://eduview.jp/?p=992
「エビデンスベースト」というのは、 統計データなどの科学的根拠に基づいて政策判断などを行うことだそうです。 このページはそれを教育分野に適用するという話。
この中で結城は特に「家庭環境と遺伝以外の部分で何ができるか」という 以下のページを興味深く読みました。
◆家庭環境と遺伝以外の部分で何ができるか
http://eduview.jp/?p=992&page=3
親がどのように子供に働きかけたら子供の学習時間が伸びるのかという話題で、 「勉強するように言う」というのはほとんど効果がないという話でした。 これは直観的にも納得する話です。 「勉強しなさい!」と言われて勉強する気にはあまりならないでしょうから。
それに対して「子供が勉強するのを親が横で見守る」というのが効果が高いのだそうです。 特に母親に比べて父親が見守る方が効果が高いという話。
実は我が家は、長い机の端で子供が勉強しており、 その隣で私が仕事をしているので「横で見守る」というのがやりやすいのです。 実際、「勉強してる?」と聞かなくても、見るだけで勉強してるかどうかわかるし、 子供が私に質問しにくることもときどきある。
初めはこういう勉強環境はごちゃごちゃしてるかな、 と思っていたのですが、意外によい効果があるのかもしれないなと思いました。
親としては子供に自主的に活動を展開してほしいけれど、 あまり勉強しない様子だと、ときには「勉強したら」ともいいたくなる。 どのようなアプローチをするのが最適なのかはなかなかわかりません。 子供の成長はほんとうに変化が激しいです。 しばらく沈滞ムードだったのが、 テストの結果が意外によかった次の日から急に活動的になったりする。
行政や学校などの多人数に対応するための教育と、 「自分の子供という個人」に対応するための教育ではなかなか粒度も異なりそうです。 まあ、でも、知恵を使いつつも体当たりでいくしかないわけですけれど。
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さて、本の話。
現在の書籍執筆の最前線は『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』です。
先日は本書の「初校読み合わせ」をしていました。 いつものように結城と編集長は横に並び、二人で校正紙を一ページずつめくっていきます。 全ページをめくりながら、校正上の注意点などを相互に確認するのです。 今回は前もって修正箇所と図版の差し替え分をメールで送っていたので、 比較的短時間で終了しました。
読み合わせ終了後、SBクリエイティブさんの営業さんに日本数学会賞出版賞授賞のご挨拶に行きました。 もちろん営業さんは今回の受賞で大喜びでした。 読者さんに書籍を届けるべく、さらにがんばってくださるとのことです。 SBクリエイティブさんのWebページで、結城の受賞を告知してくださっていましたのでご紹介。 私のコメントも書かれています。
◆『数学ガール』シリーズの著者、結城浩氏「2014年度日本数学会賞 出版賞」を受賞 | SBクリエイティブ株式会社
http://www.softbankcr.co.jp/ja/news/info/2014/0318_002453/
さて『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』の 刊行日ですが、現在のところは四月の下旬〜末にかけて書店さんに並ぶ見込みです。
新刊刊行のたびに毎回行っている《サイン本無料プレゼント》企画も始まりました。 以下のページをご参照の上、早めにご応募ください (毎回、〆切直後に「忘れた!」という声をお聞きするのです)。
◆書籍『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』刊行記念《サイン本無料プレゼント》
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20140323/note3
サイン・コサインの三角関数は苦手とする方も多いようですので、 本書を通して少しでも親しんでいただけたらいいなあと思っています。
応援よろしくお願いいたします。
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そうそう、上でお話しした「数学ガールの秘密ノート」シリーズは今回で三冊目になりますが、 とうとう「英語版」も刊行されることになりました。 まず第一弾「式とグラフ」は2014年5月に刊行の予定です。
◆英語版「数学ガールの秘密ノート」シリーズ
http://bentobooks.com/math-girls-talk-about/
英語版では"Math Girls Talk About..."というシリーズ名になります。 「数学ガールの秘密ノート」シリーズはやさしい数学を題材におしゃべりする《数学トーク》が 中心になりますからぴったりのシリーズ名ですね。
おもしろいのは上のリンクからたどってみられる本のカバーです。
◆Math Girls Talk About Equations & Graphs(カバー)
この巻では「ツルカメ算」が出てきたり「反比例のグラフ」が出てきたりするのですが、 ちゃんとそれを取り入れた表紙になっているのですね。 すごく楽しいです。
英語版「数学ガールの秘密ノート」の翻訳は、 これまで「数学ガール」シリーズを翻訳してくださっているトニーさんです。
「数学」という世界共通語を通じて英語を学ぶのもよし。「英語」から数学に親しむのもよし。 英語版も応援してくださいね。
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さて、別の話題。
結城は、マガジン航というサイトに「私と有料メルマガ」という短期集中連載(全三回)を書いています。 すでに連載第三回目も脱稿しており、近日中に最終回となる第三回目も公開になると思います。 以下はこれまでの回の記事です。
◆短期集中連載「私と有料メルマガ」 第一回 皮算用編
http://www.dotbook.jp/magazine-k/on_my_paid_email_magazine_01/
◆短期集中連載「私と有料メルマガ」 第二回 転換編
http://www.dotbook.jp/magazine-k/on_my_paid_email_magazine_02/
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別の話。
Wolfram Alphaというサイトをご存じでしょうか。 数式処理システムMathematicaを開発したWolfram Researchが開発しているサイトで、 数式処理を含むさまざまな質問に答えてくれるサイトです。
◆Wolfram Alpha
http://www.wolframalpha.com
たとえば、Wolfram Alphaに対して y = x^2 という式(これは放物線の方程式)を 入力すると、こんなページが表示されます。
◆y = x^2
http://www.wolframalpha.com/input/?i=y%3Dx%5E2
グラフを書くだけではなく、方程式を解くこともできます。 次は x^3 = i という三次方程式を解いている様子です。
◆x^3 = i
http://www.wolframalpha.com/input/?i=x%5E3+%3D+i
先日は O(1.5^n) と O(2^n) という二つのオーダーの違いを実感するために、 Wolfram Alpha に y = 1.5^x, y = 2^x と入力して二つのグラフを比べて遊んでいました。 有料会員になるとインタラクティブにグラフを変化させて楽しむことができます。 たとえば、あるスケールでの二つのグラフはこうです。
別のスケールで比較するとこうなります。
こんなふうにWeb上でいろんな「実験」ができるのはほんとうに楽しいと思います。
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さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
今回は「フロー・ライティング」をPDFでお送りします。 《最高の文章》を書くというテーマで書きました。 また「文章を書く心がけ」のコーナーでは「カフェで仕事をするときの心がけ」という お話をします。
それではどうぞお読みください!
目次
- はじめに
- フロー・ライティング - 《最高の文章》を書く
- カフェで仕事をするときの心がけ - 文章を書く心がけ
- 次回予告