Vol.127 結城浩/父のこと(4)/英仏旅行(1)/たくさんの仕事をどう管理する?/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年9月2日 Vol.127

はじめに

おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

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早くも『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』の初校ゲラが出ました。 毎日せっせと赤ペンを持ってゲラを読んでいます。 これは比喩ではありません。コンピュータ上で修正することもありますが、 ほとんどの作業はゲラの上で(つまり、紙の上で)行っています。

今週末にはいつものように編集部にて読み合わせの作業があります。 私と編集者で初校に入れた修正箇所や確認点を持ち寄って、 再校へ向けての作業を行うのです。 具体的には、二人並んで座って、一ページ一ページめくりながら、 そのページに問題点がないか、お互いに話し合っていきます。 これは、これまでほとんどすべての本で行ってきたことですけれど、 毎回とても楽しみな作業です。

本書の刊行は2014年の10月。 でも、アマゾンでの予約はすでに始まっています。 今回から少し早めに動いているようですね。

そのこともあり、現在アマゾンでの書影は、 たなか鮎子さんのラフスケッチが使われています。 カバーイラストが完成した時点で差し替わりますので、 現在しか見ることができないある意味「レア画像」ともいえるでしょうか。

 ◆『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』(アマゾン)
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797375698/hyam-22/

ぜひ本書も応援くださいね!

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さて、それとほぼ同時並行で『数学文章作法 推敲編』の作業も進んでいます。 おそらく2014年の9月中には初校ゲラがやってくるのではないかと期待しています。 こちらもゲラを読むのがとても楽しみです。

本を書いているときには、その世界にどっぷりと浸って書きますが、 脱稿してから初校ゲラが出てくるあいだに、頭はずいぶんリセットされます。 そのため、ゲラを読む時点では新鮮な気持ちで自分の文章に向かうことができます。

それはちょっぴり不思議な感覚でもあります。 自分が書いた文章ですから、話の流れは非常に自分の思考にぴったり合う。 でもディテールは忘れているので、発見や驚きもある。 さらに初校段階ではまだまだアラも多い。

……そのような「自分に近しい人からおずおずと話しかけられる」ような、 そんな感覚を覚えます。

『数学文章作法 推敲編』の刊行は2014年の12月になりそうです。 こちらも応援してくださいね。

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夏の旅行の話。

最近、夜に寝付けず、朝がとても眠いです。 といっても体調が悪いわけではありません。 原因は単なる時差ぼけです。

今年の夏、8月の終わり約10日間、 ロンドンとパリで夏期休暇を過ごしていました。

家族で海外旅行に行くというのは実に十七年ぶりのこと、 あまりにも久しぶりで、時代の違いを感じるほどです。 幸いなことに、十七年前の旅行の記録をWebに残していました。

 ◆イギリス旅行記(1997年)
 http://www.hyuki.com/tripeng/

これによれば、当時は長男が三歳で次男はまだ生まれていませんでした。 今回は次男が中学生。時の流れは早いものです。

十七年前はホテルにネット環境などありません。 ミノムシクリップを使って電話回線とモデムをつなぐという方法で、 ネット環境を整えていました。 でも2014年は何も言わなくてもホテルに無料の無線LANがあり、 フロントでユーザIDとパスワードが渡されます。 ネット環境の違いも大きく変わりました。

そんなこんなの英仏旅行の話、また後ほど詳しく書きますね。

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前回の結城メルマガでDropboxの共有リンク機能の話を書きました。 大きなファイルを編集部に送るときにDropboxの共有リンクのURLだけをメールする、 という話です。

先日Dropboxがアナウンスを行い、共有リンクに対してパスワードを設定したり、 有効期限を設定したりする機能が付加されました。 これは、特定の人だけにファイルを渡したいときにとても便利ですね。

 ◆共有リンクのパスワードを設定する方法
 https://www.dropbox.com/help/5887

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全然違う話題。

昔からよく思うこと。

戦争をなくすことは良いことだけれど、とてつもなく難しいと思う。 それは、自分の嫌いな人と仲良くすることの難しさに似ている。

戦争は国と国のケンカ。 規模や複雑さは全く違うけど、根本は人と人のケンカと似てる。

 ・昔ひどいことされた。
 ・いつかひどいことされそう。
 ・自分の活動の邪魔をする。
 ・周りのみんながあいつは悪者だという。
 ・なんとなく気に食わない。
 ・自分の方には正当な理由がある。

こういう思いは人間が人間に対して感じるだけじゃなくて、 国が国に対しても感じるものだろう。

もしも戦争がなくなるとしたら、 人が人に対して悪意を抱かない(もしくは悪意を行動に移さない) のはどういうときか、にヒントがあるような気がする。

クリスチャンとしての私は「ゆるし」に、 そのヒントがあると思っているのだけれど。

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それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。

今回は、前回に続き「父のこと(4)」をお送りします。 教育者だった父は、結城の活動にあまり口を出しませんでした。 でもあるとき、めずらしく注意をしました。その思い出をお話しします。

それから、今年の夏にいった英仏旅行のこと。

そして「たくさんの仕事をどう管理するか」という読者さんの質問にお答えします。

それでは、お楽しみください!

目次

  • はじめに
  • 教えるときの心がけ - 父のこと(4)
  • 英仏旅行(1) - イギリス編
  • メモ - エージェント・編集・マーケティング
  • Q&A - たくさんの仕事をどう管理する?
  • おわりに