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Vol.169 結城浩/フロー・ライティング - 「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と/数学文章作法のスケッチ/
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Vol.169 結城浩/フロー・ライティング - 「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と/数学文章作法のスケッチ/

2015-06-23 07:00
    Vol.169 結城浩/フロー・ライティング - 「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と/数学文章作法のスケッチ/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年6月23日 Vol.169

    はじめに

    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    新刊の話。

    もう少しで、

     『第3版 暗号技術入門 秘密の国のアリス』(2015年)

    が刊行されます。これは結城が以前刊行した、

     『新版 暗号技術入門 秘密の国のアリス』(2008年)

    の大幅な改訂版となります。第3版が出ることで、 「新版」の方が古くなってしまいましたが、 今度刊行される「第3版」の方が新しいものです。 ややこしくてごめんなさい。

    これで『暗号技術入門』の大きな改訂は二回目になります。

     2003年『暗号技術入門』
     2008年『新版 暗号技術入門』
     2015年『第3版 暗号技術入門』

    本書は、たいへんありがたいことに、 暗号技術の入門書として多くの方に親しまれてきました。

    暗号というとスパイやアングラなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、 現代のネットを支えているのはまさに本書に登場するような暗号技術です。 URLが http: ではなく https: で始まるとき、 本書にも登場する暗号技術の一つ SSL/TLS が使われます。 ネットで買い物をするとき、この恩恵を受けない人はいません。

    暗号技術は非常に重要なのですが、複数の技術が絡み合っているため、 Webで個々のニュースや細かい解説を読んでも全体像はなかなか見えません。 本書を読むと大ざっぱ過ぎず、細かすぎず、 暗号技術の全体像がつかめるはずです。

    本書は、セキュリティの資格を取る人の一冊目として読まれるだけではなく、 技術的な読み物として一般の人にも広く読まれてきました。 今回の第3版では、これまでの基本構成はそのままに、 情報をアップデートし、新しいトピックも追加しました。

    刊行は2015年の8月/9月ころになる予定です。 あと二ヶ月くらいありますが、どうぞご期待くださいね。

    詳細は、

     『第3版 暗号技術入門 秘密の国のアリス』
     http://www.hyuki.com/cr/

    のWebページを参照してください。

    また、今回の「フロー・ライティング」では、 今回の改訂作業にまつわるエピソードをお話しします。

     * * *

    コーヒーの話。

    先日、非常にめずらしく一晩中眠れないというときがありました。

    次の日も一日中ふつうに活動できたので、 もしかしたら知らないうちにうとうとしていたのかもしれませんが、 少なくとも主観的には一晩中起きていたのです。

    原因はたぶんコーヒーの飲み過ぎ。 前の日、朝昼晩夕夜とコーヒーを飲み過ぎました。

    結城はふだん、寝付きが非常に良い方です。 横になるとすぐに眠れます。眠れないときでも、 頭の中で適当な計算をしたり、 プログラムや数式のことを考えるといつのまにか眠っています。

    しかし、眠れなかったその夜はつらかった。 眠れないというのはほんとうに苦しいものですね。 なんというんでしょうか、中途半端なところに吊されている感じ。 ちゅうぶらりんです。

    しっかり目覚めていれば、 起きて仕事をしたり本を読んだりして、 それなりに時間を過ごせる。 逆に眠気がやってくれば、それこそ素直に眠ればいい。 でも「眠れない」という状況はそのちょうど中間です。 起きることも眠ることもできなくて、 何もできないまま時間が(ゆっくり)過ぎるのを待つ。 これは苦痛でした。

    なので、次の日からコーヒーの摂取量には十分注意して、 飲み過ぎないようにしています。 コーヒーを飲むと頭がしゃんとして仕事もはかどるので、 つい調子にのって飲み過ぎたんですね。

    注意注意。

     * * *

    英語の話。

    三重大学の奥村先生が、2012年にノーベル経済学賞を受賞した Lloyd S. Shapleyの論文(1962年)をお薦めしていました。 タイトルは College Admission and the Stability of Marriage (大学選抜と結婚の安定性)というもの。 数式もなく、予備知識も要らず、 短くて高校生でも読めるけれど応用範囲が広いとのこと。

     ◆College Admission and the Stability of Marriage
     http://www.eecs.harvard.edu/cs286r/courses/fall09/papers/galeshapley.pdf

    大学選抜はさておき「結婚の安定性」というのは、 初めて聞いた人には聞き捨てならない用語に思えるかもしれませんね。

    これは、たとえば男性A,B,Cと女性a,b,cがいて、 男性と女性で結婚するようなシチュエーションを想定しています。 男性と女性にはそれぞれパートナーに対する好みがあるので、 「あの人よりはこちらの人がいい」という状況になります。 でも、いくら自分が好きでも、相手は別の人の方が好きかもしれませんよね。

    いざ結婚したときに、

     ・男性Aが「妻のaより、bの方が好き」
     ・女性bが「夫のBより、Aの方が好き」

    という状態というのは「不安定な結婚」といえるでしょう。

    上の論文では、「不安定な結婚」の部分の説明はこうなっています。

     ... there are a man and a woman who are not
     married to each other but prefer each other
     to their actual mates.

    確かに「男性Aは結婚相手aより好きな女性bがいて、 しかもその女性bも結婚相手BよりAの方が好き」 ということになったら、結婚は不安定になりそうです(苦笑)。 さてこのような「不安定な結婚」を防ぐ方法はあるのでしょうか。 これは現在では有名なアルゴリズムとなっています。

    こういう問題は結婚や大学選抜に限らず、 マッチングを行う場面でたくさん応用がありそうですね。

     * * *

    さて、それでは今週の結城メルマガを始めます。

    今回は、フロー・ライティングのコーナーで、

     「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と

    という読み物をお送りします。 先ほども書いた「書籍の改訂作業」に関連したお話です。 文章を書く人には思い当たる部分も多いかもしれない話題です。

    では、どうぞごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • フロー・ライティング - 「作業としての執筆」と「夢中になれる執筆」と
    • ゲームと文章 - 文章を書く心がけ
    • 数学文章作法のスケッチ(11) - 文章を書くときに二番目に大切なこと
    • おわりに
     
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