結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年8月11日 Vol.176
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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新刊の話。
『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』のカバー画像が更新されました。 これまでのものはWeb書店に掲載のための暫定版でしたが、 今回のものが本番画像となります。とっても素敵ですね。
そして、恒例のサイン本無料プレゼント企画も始まりました。 〆切は2015年8月17日(月)です。ぜひご応募ください!
◆『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』サイン本無料プレゼント
http://snap.textfile.org/20150807083443/
ちなみにサイン本無料プレゼント企画は、 毎回結城が個人的に(出版社とは別に)実施しているものです。 応援してくださるみなさんへの感謝の気持ちからの企画ですが、 応募メールを通して、読者さんのようすが見えるのもとても楽しみです。
応募メールには何も書く必要はないのですが、 多くのみなさんがいろんなことを書いてくださるので、 一通一通読むのが楽しくてたまりません!
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ところで、もう一つの新刊の話。 気が早いことに、秋に刊行される「数学ガールの秘密ノート」第6弾が、 もう予約開始されています。 こちらのカバー画像はまだダミーですね。
◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797382325/hyam-22/
すでに予約が始まっているので、 「ベクトルの真実」もがんばって書かなくては!
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作文の話。
Twitterのまとめで「「自分の気持ち」を書いたら減点します」 というのが話題になっていました。せっかくの論証も、 最後に「自分の気持ち」を書いては台無しになるという話ですね。
◆「自分の気持ち」を書いたら減点します
http://togetter.com/li/854248
これはこれでもっともな話なのですが、 結城はこれを避けるにはどうしたらいいかな、と思っていました。 勝手ながら、自分の気持ちを書きたくなるのは 「自分が書いた文章と自分自身の距離が近すぎるのではないか」 と想像しました。 自分が書いた文章に自分自身のあしあとを残さないと気が済まない。
だったら、逆に「自分が思いもしない文章」を書く練習がいいのでは、 と考えました。 ちょうどディベートでpro(賛成)とcon(反対)に機械的に分かれて議論するように、 「自分がそうは思わない」という内容の文章を書いたらどうだろう、 と考えたのです。
「自分がそうは思わない」主張を書くためには、 自分以外の何かを論拠としなければならない。 「これがこうだから、こうなのだ」という論理の組み立てを、 「私の考え」という土台抜きで行うというのは良い練習ではないでしょうかね。
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先週もっともRTされた結城のツイート。 ちなみに1641もRTされています。
「絶対にバグはありませんね?」
「既知のバグはありませんが、未知のバグはあるかもしれません」
「そんなことでは困ります。すべてのバグを潰してください」
「未知のバグは潰せません」
「なぜですか?」
「未知だからです」
https://twitter.com/hyuki/status/629233959713439744
たわいもない対話ですが、 最初の「絶対にバグはありませんね?」という質問は、 開発者が心ゆさぶられる質問です。
・バグはないという保証は原理的に不可能。
・バグをできるだけ減らしたい気持ちではいる。
・無造作に「絶対に」などといってほしくない。
こんな思いが頭をぐるぐる巡るのです。
なお、このツイート、 何気なくつぶやいているみたいですが、 かなり時間を掛けて推敲しています。 たしか三バージョンぐらい作って、 いちばんいいものをツイートしたはず。
(そんなことやってないで、仕事しなさいよ、自分……)
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そ、それでは今週の結城メルマガを始めましょうか。 今回は「再発見の発想法」のコーナーで、
Validator(バリデータ)
というお話をしましょう。 どうぞごゆっくりお読みください!
目次
- はじめに
- 再発見の発想法 - Validator(バリデータ)
- 藤井太洋さんの講演録 - 本を書く心がけ
- マンハッタンで夏休み(1)
- カフェでの執筆ほか - Q&A
- おわりに