〇このたびの消費税率引き上げ決定について

 

わが党としては、現時点における消費税率引き上げ決定には反対である。政府が声高に主張している景気回復には、そもそも全く実体がともなっていない。各種指標の改善についても、補正予算や更新投資の影響であり、「力強い回復」とは程遠い状況にある。

 

実態をみれば、民間基本給は14か月連続で減少し、消費者マインドも3か月連続で悪化している。街角の景気の実感も5か月連続で悪化している。政府が、アベノミクスの成果として誇る株価水準も、日銀がこれだけジャブジャブとお金を流しているにも関わらず、依然として伸び悩んでおり、米国の金融政策や財政問題等で揺れる為替の動向と相まって、ますます先行き不透明感が強まっている。

 

ここで消費税率を上げれば、確実に景気は失速し、逆に税収全体が大きく減少することになりかねない。

 

政府は「物価上昇」に血眼になって取り組んでいるが、そうした中、確実に「悪い物価上昇」の足音が聞こえている。円安等による電力・ガス料金や一部食料品等価格の上昇は、徐々に生活を苦しめつつある。今のように非正規雇用が増大し、低所得者が増える中で消費税率を引き上げれば、このような悪い物価上昇も相まって、中小零細企業や農林漁業だけでなく、広く国民生活全体に深刻な影響を及ぼすことが確実である。

 

片や、消費税増税の前提であるべき社会保障制度改革は進んでいるのだろうか。答えは明らかである。医療も介護も年金も、削減の話だけがひたすら先行している。国民生活を安心させる制度改革には全く手が付けられていない。政治や行政の身を切る努力もどこへいってしまったのか。

 

安倍総理は消費税増税と併せて景気対策をやるという。ブレーキとアクセルを一緒に踏んで果たして車がうまく進むのか。国土強靭化などといって、結局、増税で浮いた分が効果の薄い事業に膨大に投入されることになりはしないか。穴の空いたバケツにいくら水を入れても無駄に漏れだすだけである。我々としては、水が垂れ流されることを大変憂慮している。

 

消費税増税はいわば「最後の手段」なのである。その前にまず、政治と行政は身を切る努力を最大限行い、地方分権でムダな事業を廃し、社会保障制度改革に結論を出し、金融政策頼みではない実体的な経済政策に取り組む。今求められるのは、そうした姿勢である。よって、わが党は今回の性急な消費税率引き上げ決定には反対である。