オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第141回 五月だけどさわやかになれない人たちのウラガワ(3)
◆もくじ◆
・五月だけどさわやかになれない人たちのウラガワ(3)
・最近の志麻子さん
6月に角川ホラー文庫より『現代百物語 不実』発売予定
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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すっかり初夏の五月。そのさわやかな気候とは程遠いエピソードの数々を語ってきた今月。
今号も、さわやかじゃないどころか、不気味さにぞっとするような話です。
バイト先には、「いるけどいない人」「いないけどいる人」がいた……。
行ったこともない海外のある国で、なぜか目撃情報が……。
隣で寝ている人の「夢」を垣間見ることが出来ると語る女性は……。
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2014年11月~15年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ」
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ」
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ」
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ」
6月「台湾から連れてこられたある女性のウラガワ」
7月「大人の夏の観察日記のウラガワ」
8月「大人だからわかる怖い話のウラガワ」
9月「『志麻子のヤバモンGO』なウラガワ」
10月「取り返せない夏の思い出のウラガワ」
11月「常夏の国で生きる女の秋のウラガワ」
12月「冬を生きながら春を待つ女達のウラガワ」
2017年1月「自分を重ねてしまう若者たちのウラガワ」
2月「冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ」
3月「春のさなかに聞いた怖い話のウラガワ」
4月「木の芽時な人達のウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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すっかり初夏になり、しかし梅雨にはまだ間のあるこの季節、さわやかですな~。一年のうちで一番いい季節でしょう。が、しかし。必ずしも人が五月に合わせてさわやかになることはない。ということを今月は書いてきた。
登場人物はみんな仮名にしてあるし、年齢や職業なども微妙に変えてあるので、もしかしてあの人かな、あの場所かなと気づいても、知らない振りをしていてほしい。
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私よりちょっと若い奈津子は大学に入って初めてのゴールデンウィークは、ひたすら夏休みの旅行のためにバイトしようと思い立った。
当時はまだ携帯やパソコンはなく、情報誌や口コミに頼るしかなかった。
店にバイト募集の張り紙がしてあった地元の化粧品店と、情報誌に出ていた喫茶店を掛け持ちすることにした。どちらも時給も悪くないし、雇い主も良い人達だったが。
「化粧品店の方には『いるけどいない人』、喫茶店の方には『いないけどいる人』、ってのがいました」
化粧品店は奥のドアの向こうに倉庫と階段があり、二階の経営者一家の住居とつながっていた。その二階から時おり、経営者の娘が降りてくる。