オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第280回 変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ(1)
◆もくじ◆
・変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ(1)
・最近の志麻子さん
『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より6月発売予定
万年アクリルカレンダー再販中
【配信版】月刊オメ★コボシ 4月分 アーカイブ配信中
【配信版】月刊オメ★コボシ 5月号 5/18(火)開催
2/25発売『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に作品収録
映画『遊星王子2021』に出演
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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4月が来ても変わらぬもの、変わりゆくもの、いろいろある。
当事者は気づいていなくて周りが気づく場合と、周りはわからなくても当事者にはわかるものもある。
四十路の桜子(仮名)は、いまは演劇界で、人気劇団にて原作も脚本も演出も手掛けるスターだ。
桜子も若いころには苦労人で不遇だったが、桃花(仮名)という同世代のアイドルがいた。
桜子は桃花の出演映画の世界観に影響を受けてきたのだが……。
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2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ」
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ」
3月「どこか心残りの別れのウラガワ」
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ」
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ」
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ」
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ」
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ」
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ」
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ」
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ」
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ」
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ」
2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ」
3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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私も子どもも、入学や入社とは関係なくなってしまっても、四月となれば新学期、新年度だと感じてしまう。レギュラー番組がある身としては、とりあえず次期クールも継続か、「卒業」はなかったなと、安堵する月でもある。
四月が来ても変わらぬもの、変わりゆくもの、いろいろある。それを目の当たりにすれば、様々な喜びも悲しみもあるが。
一見、変わらぬように見えて実は大いに変わってしまったもの、皆さんの目にはずいぶんと変わってしまったように見えて、本質は変わらぬものもある。ともに、当事者は気づいてなくて周りが気づく場合と、周りはわからなくても当事者にはわかるものもある。
それを、今月は書いてみたい。毎度のことながら、全編に渡って登場人物はすべて仮名、職業や背景などで個人や関係者を特定されないよう、それらも脚色し変更してある。
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四十路の桜子は、あまりテレビには出ないので一般的な知名度はさほどではないが、演劇界ではスターだ。人気劇団に所属し、原作も脚本も演出も手掛ける。
桜子の艶っぽい演技もさることながら、少女達の無垢さ残酷さ美しさおぞましさの物語が醸し出す、不気味な異界と平穏な日常をくるくる反転させる演出の舞台は常に満員だ。
しかし桜子も田舎町の演劇少女でしかなかった頃はあり、舞台を志して上京してきてからも、長く売れなかった時代はある。
風俗まではやらなかったが、水商売のバイトはけっこうやったし、援助交際に近いこともしたし、金持ちの愛人になったこともある。
桜子が苦労人だった頃、不遇だった時代、桃花という同世代のアイドルがいた。いっときはかなりの人気で、本業は歌手だがテレビドラマや映画にも主演していた。
桜子は、特に桃花のファンというのでもなかったが、主演したある映画は強烈に好きだった。少女達が異界に迷い込んで様々な冒険をする物語で、桜子はそれに影響された物語をいくつも書いたし、上演した。
現在も続く桜子の世界観も、すべてではないがその桃花の映画から始まっているといっても過言ではない。しかし、それをほとんど公言したことはなかった。
アイドルおよびアイドル映画を低く見ているのではないが、ダークな世界観、ときにグロテスクな雰囲気に惹かれるファンの多い桜子としては、何やら気恥ずかしくもあり、ときおり目ざとい観客に、あれのパクリだの模倣だのいわれるのも嫌だった。
さて、桜子がテレビや映画ではないのであまり目立ちはしないが、着実に観客を増やして評価を上げ始めた頃、最初から歌唱力や演技力はあまり期待されておらず、可愛さと若さで売っていた桃花は、露出を減らしていった。