オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第305回 人生そのものがお楽しみ会のウラガワ(2)
◆もくじ◆
・人生そのものがお楽しみ会のウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
「ギターウルフ × 岩井志麻子 × 掟ポルシェ:史上最強の人生相談」1/4まで配信中
「夕やけ大衆」で「四畳半ホラー劇場」を連載中
『プロが解決!オトナLab.』でお悩み募集中
『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より発売中
万年アクリルカレンダー再販中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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前回に引き続き、女性エンターテイナー・ミカエのお話。
彼女のためだけにある事務所の社長に見守られているミカエには、熱烈なファンがついている。
彼女は実年齢七十三歳なのに三十歳というプロフィールで……。
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2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ」
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ」
3月「どこか心残りの別れのウラガワ」
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ」
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ」
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ」
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ」
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ」
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ」
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ」
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ」
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ」
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ」
2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ」
3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ」
4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ」
5月「子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ」
6月「ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ」
7月「ホラーの夏なので怖い怪談実話なウラガワ」
8月「夏といえばの怖い話・奇妙な話のウラガワ」
9月「歳を取れば大人になれるわけではないウラガワ」
10月「この歳になって初めて知ることもあるウラガワ」
11月「「どこで逸れたんだろう」と考えてしまうウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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本来なら十二月はクリスマス会に忘年会と、お楽しみ会が続く月だ。私は誕生日もある。なのに新型肺炎の襲来で、去年は自粛と縮小を余儀なくされた。
ようやく終息ではなく収束の気配を見せてくれるようになったが、どんちゃん騒ぎはできないまま。人生全般がお楽しみ会なので、静かなそれもいいかと受け入れるかしない。
そして、反省会や勉強会も要ると思っている。というのが、今月のテーマだ。
今回は前回の続きなので、ざっと簡単にこれまでのあらすじを書いておく。
──テレビ局勤務の由子に誘われ観に行った、小さな舞台と女優。十人ほどの熱烈ファンと、彼女のためだけにある事務所社長に見守られている日奈戸ミカエは、七十三歳なのに三十歳といい張り、過去もそのように設定し、周りも信じ切っている雰囲気。
私達はえもいわれぬ不安感を持ったが、当のミカエは実に謙虚で真面目なのだった。
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ときおり芸能界には、「そういう設定の人」が現れる。
派手なメイクとそれらしい衣装で、「吾輩は悪魔で、十万五十八歳だ」とか。浮世離れした言動で、「私は××星から来た××星人でぇす」とか。コンビを組んでいるだけの他人同士なのに、実の姉妹だといい張るとか。
共演者も視聴者も、そういう設定でいくならそういうことにしといてあげましょう、という生温かい態度で接する。が、中身は普通の?人だとわかっているし、本人達も本気でその設定を信じているのではない。
そういう私もときおり、ヒョウの着ぐるみとメイクでテレビに出たりしているが、一度たりとも「ジャングルから来たヒョウです」といったことはなく、普通の?オバサンがヒョウの格好をしているだけ、と本人が表明している。
だが日奈戸ミカエは、上記の人達とは明らかに何かが違う。一線を画している、のだ。
設定そのものは突拍子もない、悪魔だの異星人だの石油王の愛人だのではなく、〇県〇市で生まれ、地元の高校を出てOLしてました、といったごく普通のもので、エキセントリックな言動もまったく見せない。
なのに、親は志麻子さんと同い年で五十七歳だとか、十年くらい前に渋谷でスカウトされたとか、嘘の設定をにこやかに真面目に語る。さぁ突っ込んでください、といった誘いは微塵も見せない。何より、ファンがその設定を受け入れている。