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第317回 心残りな事件の男たちのウラガワ(2)
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第317回 心残りな事件の男たちのウラガワ(2)

2022-04-30 21:00

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~

    ◆もくじ◆

    ・心残りな事件の男たちのウラガワ(2)

    ・最近の志麻子さん 
     5/8(日)「オメ★コボシ69」開催
     公式アパレルグッズ発売中!
     『遊星王子』「日テレプラス」で連ドラ放送
     5/6(金)公開の映画『死刑にいたる病』に出演
     「夕やけ大衆」で「四畳半ホラー劇場」を連載中
     『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より発売中

     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    なんだか気になる昔の事件の男たち。
    およそ40年前のこの殺人事件は、前回同様、「男が女に嘘をついたこと」が発端だ。

    結婚して間もなく、今のうちに土地を買っておくために妻の親からもらった大金を、男は使い込んでしまう。
    しかし、そのことをずっと言い出せなくて……。


    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

    2014年11月~20年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
    2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ
    2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ
    3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ
    4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ
    5月「子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ
    6月「ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ
    7月「ホラーの夏なので怖い怪談実話なウラガワ
    8月「夏といえばの怖い話・奇妙な話のウラガワ
    9月「歳を取れば大人になれるわけではないウラガワ
    10月「この歳になって初めて知ることもあるウラガワ
    11月「「どこで逸れたんだろう」と考えてしまうウラガワ
    12月「人生そのものがお楽しみ会のウラガワ
    2022年1月「まだ楽観視できない未来を思うウラガワ
    2月「記憶が混乱するアレコレのウラガワ
    3月「どうしても心残りなウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===

     ぱあっと花見が楽しめない四月も、三度目だ。もはや自粛にも慣れた、いや、慣らされてしまったが、桜は無常に美しい。何かが新たに始まる予感を抱えつつ、何かやり残した、何か心残りがある、そんな春風が吹く。

     さて先月は、春にも自分にもあまり関係ないけれど、春になってなんだか気になる昔の事件の女達、を書いてみた。今月は、その男版だ。

                        ※

     この事件は、およそ四十年前、私がまだ高校生の頃に起きた。前回の話と共通するのは、男が女に嘘をついたことが発端、というものだ。

     ただ前回の事件は、男と女は元は単なるペンフレンドで、直接には二度しか会ってない。今回の事件は、男と女は二十年以上も夫婦であり、嘘も二十年に渡っていた。

     結婚して間もなく安道は、妻である奏江の親に、今のうちに土地を買っておきなさいと大金をもらう。しかし株に夢中になっていた安道は、その金をすべて株の購入に充ててしまった。結局、株では損失を出してしまい、土地など買えなかった。

     なのに妻やその親には、近県の土地を買ったと嘘をついた。実に嘘をつき続けて二十年が経った頃、奏江が家を新築したいから土地を売ろうといい出した。奏江の計算によると、二十年経って土地は値上がりし、二億円を超えているはずだという。

     最初は安道も、「うちはまだ、そんな古びていない」だの誤魔化し続けていたが、奏江は新しいマイホームを夢見て、てきぱきと話を進めていった。

     新居の設計図ができあがると、あっという間に見積書もでき、工事中に仮住まいをするマンションまで契約してしまった。すでに、新築工事も始まろうとしていた。その間、安道は本当のことをどうしてもいい出せなかった。

     
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