石神さんが出張帰りに面会に来てくれた。
GW前から約束していた予定だったので、待ち遠しくてたまらなかった。
石神さんは、支援チームメンバーの中で私が唯一異性として意識している人です。とても好き。心から信頼しています。
彼は一審の裁判員裁判を傍聴し、その後の成り行きをずっと気に掛けて下さっていました。支援者に対し異性としての感情を持ってしまったのは、私の弱さです。そのことで、チームの輪を乱すことになり自己嫌悪に陥りましたが、呆れつつもサポートし続けてくれる彼らに感謝しています。
「石神さん」はニックネームです。東野圭吾さんの小説に登場する数学教師の名前。
2年前「貴女の石神になります」と言う手紙が届いた。
私は新興宗教の勧誘だろうと思っていた。東京高裁の待合室で偶然手にした「容疑者Xの献身」を読み、震えた。
「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある」
こういうこと、現実にあるんです……
「関われるだけでも幸せ」と思ってくれる人がいるんです……勿論、私の石神さんは正当な手段で関わっております、念の為。
控訴棄却後「本当に、身代わりが可能ならば、男性の私が代わってあげたい」と言って下さり、じーんと胸に迫りましてね。青木理さんに冷たくあしらわれ、支援者たちからもお説教され、落ち込んでいた時だったから余計に石神さんの言葉が嬉しくて。
ブログの移行は彼が尽力してくれました。ちなみに「GENIUS」を買ってくれた年上の彼は石神さんです。
ライブドアブログ読者に私から連絡したのは、アメリカ人のスー(*仮名)さんただ1人。
彼も、こちらのブログ制作に協力して下さることになりました。東京とアメリカ在住の支援者が連携して発信する新バージョンの拘置所日記は、完成度の高いものになると思います。
カントリーマアム君がチョコパイとキットカットを差し入れてくれた。キットカットが「カカオ感アップ!」したらしいけど、わからないなぁ。
憲法記念日の特食にチョコパイが1個出たのですが、差し入れだと9個入りのParty Packが届くので、凄く贅沢な気分になります。
みどりの日には白玉入りのお汁粉、こどもの日には柏餅、振り替え休日にはさつまいもと栗のタルトが出て、祝祭日は甘い物で寂しさを紛らわせろという官の魂胆がうかがわれます。
石神さんが買ってくれた金色に輝く牛肉大和煮缶と蟹缶がやけに豪華で拝みたくなる美しさ。缶詰と言えば、カントリーマアム君、相変わらずサンヨーのパインアップル缶を買ってくれたよ。
私はスーさんにまで
「カントリーマアムの差し入れを佳苗さんが断るときの表現がオブラートに包み過ぎて非常にわかりにくいです。優しい年下の彼はきっと『佳苗さんは色々な理由でカントリーマアムが好きだけれども、他のも一緒に食べてみたいんだ!』と解釈します。当然でしょう。」
と海の向こうから駄目出しされました。何とライブドアブログでコメント数が一番多かった記事が「カントリーマアム」でして、まさか読者にこんな曲解をされるとは思ってもみませんで。びっくりしました。
カントリーマアム君の差し入れについては文句言わないよう努力しています。パインも美味しいし、チョコレートのお菓子も好きだし。
そうそう、石神さんが変わったものを選んでくれた。小麦のパフを水飴ときな粉ともち米の衣で包み砂糖をまぶした「手づくり五家宝」という和菓子。熱いお茶にぴったり。
石神さんは、ビスケット好きの私にオレオを買って下さり好感度が更にアップ!オレオにストロベリークリームバージョンがあるなんて知らなかった。
オレオと言えば、ビターなチョコ風味のクッキーに白いクリームが挟んであるものとばかり思っておりました。オレオって去年の春に発売から100年を迎えた20世紀で1番売れたクッキーで、日本では発売から26年。
あれは私が中学時代のことでした。当時私が毎日OREOを食べて太ったのはアメリカのせいだとスーさん宛の手紙に書いていたら、スーさんからのエアメールが届いた。消印の違う4通が同時に交付。何このオーバーペースは。
「佳苗さんにとって私が運命の人かどうか、佳苗さんの心の中を覗く深層心理テストを行って占ってみましょう」
手紙で勝手に占い出しちゃったよ。
この人、なにせ科学者だからちょっと変わってる。
「佳苗さんは、私から初めて手紙を受け取った時のことを覚えていますか?その時佳苗さんは、私の姿が瞼にパッと浮かんできたはずです。ある素敵な音楽と共に……その音楽を覚えていますか?」
いや~姿も音楽も全然心当たりないんですけど。
「心に響く素敵な音楽です!よーく考えて思い出してください。えっ?ベートーベンの第九!? 違います!もっと素敵な心暖まる音楽です。目をつむって瞑想し、心を落ち着けて、よーく思い出してください(大事です!!)。佳苗さんの心に響いた運命の音楽とは如何に!?」
もう何が何だかわかりません。
「呼ばれて飛び出て、ジャ・ジャ・ジャ・ジャ-ン!!」
佳苗さんが聴いたのはこの音楽でしたよね?
この後私が現れたんですよね?心暖まる音楽ですねぇ!
って言われても……私は拘置所でこんなアメリカ人に絡まれて幸福に過ごしています。
「土曜の昼食にパンが出ない切なさについて」 2014年5月10日
東京拘置所では、食事にパンが出るのは大抵土曜日の昼と決まっている。
平成26年に初めてパン食が出たのは1月11日の昼だった。
拘置所はどんな書類にも元号で記すことを強要するので、プライベートな文章では西暦を使うようにしているのだが、つい習慣で平成と書いてしまった……私はどんな原稿も一筆書きと決めているのでこのまま進めます。
平成25年はブログの構想がなかったから記録していない。
私は日記にも献立は書いていないので定かではないけれど、パン食は概ね土曜の昼だった。
26年は5月10日現在、パン食が出たのは17回。そのうち、土曜の昼食だったのは15回。
2月22日は、土曜の夕食にパンが出たのを今日まで忘れていた。
確か去年の10月に、土曜ではなく日曜の昼食で11月には何度か日曜の夕食にパンが出てびっくりした記憶がある。その時の、土曜の昼のがっかり感といったらなかった。
コッペパンを期待していた時に出された丼いっぱいのご飯に全く食欲が湧かずどんよりした。この気持ち、東拘収容者ならわかるんじゃないかナァ。
5月10日の昼食に米飯が出た。この原稿、10日の夜に書いているのだが、ショックでどんなおかずが出たか覚えていない。
あぁ、パンは明日の昼か夕に出るんだな、この暗い気持ちをアゲよう!と3時に石神さんの紅ずわいかに缶を開けてもらい、ジップロックコンテナに移して夕食を待った。カニの混ぜご飯を作ろうと思ったわけです。
16時に夕食の配当が始まった。何とパン!カニご飯の予定を変更し、クリームシチューに一缶分のずわい蟹の身を投入。まぁ、美味しかったけれども。脳内イメージはカニの釜飯だったから、何か複雑な心境です。埼玉のように献立表を配布してくれると、こんなモヤモヤしなくて済むのにナァ。
土曜の昼に「パンじゃないんですか?」って質問していた人が多数いた。やっぱり同じ不満を抱いているんだ。職員は「たまにズレることがあるのよ~」って答えていたけれども。
東京拘置所の献立を作っている人に、この問題について是非考えて頂きたい。土曜の昼食にパンが出ない切なさについて。ついでにパン食の頻度の少なさについても考えて!改善して!
熱望しています。