かなり過激な食事法だった。
M先生の机の上には伯方の塩とたっぷり水が入ったボトルが置かれていた。自然塩を一日二十五gとれと言う。水を五リットル飲めと言う。青菜をたくさん食べなさい。調理には紅花油とバターを使いなさい。カロリー源をでんぷん質に頼らず、紅花油と青菜と小麦製品と合わせることでカロリーを補うという。
お米のご飯はNG食品。すべては、砂糖をやめることから始まった。
糖分は、腸の蠕動運動を妨げる。血をきれいにサラサラの状態にするには、腸の働きを滞らせ、バイ菌のエサになる糖分を入れないことだという。まず糖分を徹底して体の中から追い出し、入れない。蜂蜜、黒砂糖、ブドウ糖、乳糖、果糖も同じ糖分として扱う。
中途半端な甘党ではない私は、これを断つのが一番辛かった。
お米は一ヶ月食べなくても何ということはないが、とらやの羊羹、空也の最中、うさぎやのどら焼き、ユーハイムのバウムクーヘンが恋しくて仕方がない。空也の最中の味を思い出しては、本郷の壺屋の最中も美味しかったと哀愁に胸を焦がした。
血液の中に糖が増えると、血糖値が上がり、糖分がタンパク質と結びついて様々な毒素を作り出し、カラダにバイ菌を増やすという。きれいな血を保つためには、バイ菌の食べ物である糖分を断つのが一番、という理論である。