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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2016/11/11(No.46)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
【No.46】廃炉費用不明で社債発行?──東電をとりまく無責任体制
2.メルマガ後記
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1.福島第一原発事故トピック
炉費用不明で社債発行?──東電をとりまく無責任体制
<東電にとって廃炉費用は他人事?>
東京電力は10月31日に四半期決算を発表した。記者会見の冒頭で廣瀬直己社長が、電力使用量の減少や燃料調整費の影響などで電気料金収入が前年同期比18.8%減になったこともあり、経常利益は前年同期比で24.9%減の2742億円になったことなどについて説明したところまでは、通常の決算発表と同じだった。
違うのは、質疑のほとんどが、経産省が設置した東電改革・1F問題委員会(東電委員会)に絡んだ廃炉費用(事故収束作業コスト)に関するものだったことだった。
東電委員会の10月25日の第2回会合で、事務方(経産省資源エネルギー庁、原子力損害賠償・廃炉等支援機構)は「今後の議論音手順(案)」として、原発事故に伴う費用を試算。福島第一原発の廃炉費用を、現状の800億円が、燃料デブリ取り出し作業によって増大し、年に数千億円になる可能性があるという見通しを示した。もっとも、具体的な中身については「年末から年明けを目処に提示」としただけなので、根拠がなにかは不明だった。
いったいこの試算はどこから出てきたのか。東電はどのように認識しているのか。こうしたことがわからないと、空手形に多額の税金を注ぎ込むことになりかねない。東電音決算発表が、福島第一原発のコスト見通しを質す場となったのは当然といえた。
しかし記者からの質問に対して廣瀬社長は、まるで人ごとのように回答を避け続けた。
廣瀬社長の言葉から伺えたのは、福島第一原発の事故処理費用については、責任者不在の無責任体制が構築されたのではないかということだった。原発事故の処理コストを誰が負担するのか、気がついたときには誰が決めたのかを誰も知らないうちに国民負担になり、青天井で金額が膨らんでいく可能性を否定できない。
以下、四半期決算での東電委員会関係の質疑を抜き出す。カッコにぼくのコメントを付記する。
読売新聞
── 東電改革委員会第2回で、ホールディングスの原子力事業の分社化、再編を求める提案あった。見解は。
廣瀬社長
東電委員会での議論はこれからだと思っているので、委員のみなさんの議論を是非、待ちたいと思っているので、いまの段階では控える。
── 議論はこれからだが、一般論でもいい。分社化することでのメリット、デメリットをどう考えているか。
廣瀬社長
まさに東電委員会のメンバーの方々、ご存じの通りそうそうたるみなさんに集まっていただいてこれから議論していただくということなので、必要があればもちろん委員会の中で述べるということはオブザーバーとしてあるかもしれないが、こうした場で私から申し上げるのは、今は控える。
(東電委員会に、東電はなんの責任も権限もないことがわかる)
東京新聞
── 一部報道で、東電委員会、公開されている日程とは別に非公式会合やっていると。実際にそういう事実がはあるのかの確認。もしやっているのなら、なぜ必要あるのか
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