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  • 【No.67】トリチウム汚染水の論点は被害の最小化なのに放出話が消えない

    2019-10-04 00:02
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    木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                       2019/10/3(No.67)
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    【No.67】トリチウム汚染水の論点は被害の最小化なのに放出話が消えない
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    ■トリチウム汚染水の論点は被害の最小化なのに、放出したがる東電とエネ庁

    <2022年夏にタンクが満杯になるけど根拠は不明という東電>

     関西電力トップが福井県高浜原発の地元自治体元助役(今年3月に死没)から、金の延べ棒やら小判やらを含む多額の金品を受け取っていた問題が、祭り状態になっている。10月2日に関電の岩根茂樹社長(電事連会長)と八木誠会長(電事連元会長)の記者会見のあと、いろいろな記事が出てるけど、わからないのは「なんで個人対応を続けたのか」ということに尽きるような。

     映画「ミンボーの女」では、暴力団の民事介入について、金品渡すことで「受け取った」という弱みを握ってズルズルと自分の土俵に引きずり込むやる口を描いてるけど、今回のって、それと同じなんじゃないかな。90年代後半以降にいろいろ法整備がされたことや、警察の対応が厳しくなったことや、会社側の総会屋対策が定着してきて、こういうのはほぼなくなったんだと思ってたら、関電で、しかも使い古された手で巨額の金品受領が続いてたことにすごく驚いた。

     こういうときには個人対応は絶対にしない、法務含めて社内で情報共有する、返却も個人では絶対にやらない、が基本なのに、調査報告書や会見(の一部)を見る限り、関電はそれがひとつもできてない。

     さらに疑問なのは、なんでこんなことになったのかがわからないことだ。意図的にやらなかったのか、それともやる意識がなかったのかが、今もって不明。調査報告書でも触れてないし、記事も出てないと言うことは記者会見での説明もなかったんだろうと思うしかない。

     記者会見は全6時間もあるから全部を見たわけじゃないけど、少なくとも役員がここで個人対応をしたのは、コンプライアンス上も、民事介入対応の手順上も、完全にアウトだと思う。もし関電では個人対応が日常になってたんだとしたら、同じような利益供与が他にもあると見た方が自然とも感じる。このへんは、専門の記者さんたちに詰めていってほしいところです。

     そんな役員が居残ったまま、第三者委員会を設置して調査をすると言っても、どこをどう信用すればいいのか皆目見当がつかない。東電も原発事故後に第三者委員会で調査をしたことがあったが(国会事故調に対する調査妨害)、内容はひどいものだった。必須のはずの国会事故調関係者に何も聞かず、自社内だけでヒアリングをした身内調査委員会でしかなく、結論は、意図的な妨害ではなかったというもので、あまりにのひどさに記者会見では批判の嵐だった。関電の第三者委員会がどうなるのか、注目したい。
     
     ということで、本題に。

     福島第一原発のトリチウム汚染水のことが最近、SNSだけでなく新聞、テレビでも話題になってきている。きっかけは、トリチウム汚染水の処分方針について検討している資源エネルギー庁の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の第13回会合(2019年8月9日)で東電が、貯蔵を続けた場合は「3年(2022年夏)に満杯」と説明したにもかかわらず、根拠を示さなかったことだった。

     タンクの建設計画は以前から出ていたので、2~3年で一杯になるという認識は福島第一を取材している記者の間では共通認識になっていた。記事になったのは、東電が明示的に説明をしたからなのと、小委員会で議論の俎上にのったからだった。

     小委員会の事務局(資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力発電所事故収束対応室)では、昨年8月の住民説明会の後、1.処分方法について、2.貯蔵継続について、3.トリチウムの生物影響について、4.トリチウム以外の核種の取扱いについて、5.モニタリング等の在り方について、6.風評被害対策について、7.合意形成の在り方について、8.その他の8つに論点を整理。2018年10月1日の第10回会合から、ひとつずつ議論をしてきた。
     
  • 【No.66】排気筒でなにが起こってるの?ートラブル多発の原因を考える

    2019-09-04 00:42
    326pt
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    木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                       2019/9/3(No.66)
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    【No.66】排気筒でなにが起こってるの?ートラブル多発の原因を考える
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    ■排気筒でなにが起こってるの?ートラブル多発の原因を考える

    <東京新聞のすっぱ抜き写真から進展した排気筒解体>

    少し長めの梅雨が明けたと思ったら、酷暑が続く近年の夏が戻り、気がつけば9月になってしまった。今年もあと4か月しか残っていない! どんどん月日が経つのが早くなっている今日このごろ、みなさまにおかれましてはお元気で過ごしていらっしゃるでしょうか。

    ところで欧州も今年は、パリの最高気温が40度を軽く超えるなどとんでもないことになってるようで、もともとエアコンの設置数も少ないからどうなることかと思ったけども、日本のように熱中症でバタバタと人が倒れたりはしてないようだ。

    欧州在住者の話では、湿度が低いこともあるけれども、パリのアパルトマンは石造りの家が多く、壁が厚いため、部屋の中に熱気が伝わるまでいかず、扇風機でなんとかなっているらしい。厚い壁は冬の寒さにも威力を発揮する。そういえばドイツは法律で、省エネにするために壁の厚さや窓の構造がきちんと決まっていた。この話を取材したのは10年ほど前のことだ。

    日本でも省エネ建築の話が出ることはあるけれど、どうも、安さを求めて反対する業界があるらしく、いつまでたっても薄い壁と薄いガラスと金属サッシが使われ続けているので、夏は暑く、冬は寒い。古い家でも窓を変えるだけでずいぶんと省エネになると思うのだけど、公営住宅はとくに、そういうコストはかけたくないらしい。

    窓枠の話だけでなく、いろいろな場面で変わっていないことが多い日本に対して、欧米もアジアもこの20年で急激に変化した。それと比較すると日本は、失われた20年というか、後退した20年なんじゃないかと思うことが多いんだけども、みなさんはどう思いますか。

    そんなわけで、初期コストをかけずに作業をしようとしたらトラブルが続発して、見ている人たちを不安にさせている福島第一原発の排気筒解体工事について、現状を見ていきたい。

    排気筒解体作業は、ご存知のようにトラブル続き。ようやく9月1日にてっぺんから2m、重さ4トンの頭頂部の切断が終わったけども、この作業は当初、2日で終わるはずだった。それが1か月かかったのだから、まさに「ようやく」だった。

    排気筒解体作業は、作業開始前からクレーンの高さを間違えるという素人のようなミスが出たのをはじめ、実際に作業を始めてみればトラブル続きで、2日で完了する作業が1か月以上もかかり、その間には心底、なんでこんな素人作業になるんだ〜、と、泣きたくなるようなことも起きた。

    東電に、トラブルの原因をきちんと確認しようとする姿勢が見えないこともあり、今後も計画通りに作業が進む期待はほとんどできないので、今はもう、無事の作業完了を祈るだけになっている。
     
  • 【No.65】繰り返し起こる初歩的なミスと初歩的なトラブル

    2019-08-03 00:03
    326pt
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    木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                       2019/8/2(No.65)
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    【No.65】繰り返し起こる初歩的なミスと初歩的なトラブル
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    ■繰り返し初歩的な過ちが起こる福島第一
     呆れてものも言えないのは、僕だけでもなかった。東電の中にも呆れている人はいる。それでもこんなことが起きるんだと思ったのが、7月5日のパフォーマンス会議(東電が協力企業を集めてトラブル情報などを共有し、再発防止につなげるための会議)で報告された案件だった。

     なんと福島第一原発の放射線管理区域内、つまり防護服が必須のエリアで、勝手に防護服から通常の作業着に着替えてしまった作業員がいたのだ。東電はこのことを自ら発表したわけではなく、会見で筆者が指摘して説明を始めた。なんというか、この東電の姿勢にも呆れてものが言えないけども、6月には放射線管理区域の中で靴下になって作業した東電社員がいたことが発覚したし、福島第一原発の放射線に対する意識が低すぎて恐ろしくなってしまう。

     作業着の着替えをしたのは東電パワーテクノロジーの下請け企業の作業員。東電の説明では、「急いでいた」という。この作業員は単身赴任で福島第一原発に来ていて、この日は週末で帰郷することになっていたらしい。けれども防護服から通常の作業着に着替える場所はいつも混み合っていて、1時間半程度待たされるため、自分の企業が管理する企業棟(スーパーハウスと呼称している、作業現場近くに設置されている各企業のプレハブの建物で工具などを置いている場所)で着替えてしまったのだという。

     急いでいるからといって指定場所以外で着替えるのは、明確なルール違反。へたをすれば身体汚染につながりかねない重大な違反といっていい。東電はこの事を「G2」(是正措置を確実に実施すべき事柄)に分類。水平展開する必要があるという認識を示している。

     前述したように、福島第一原発では6月に放射線管理区域の中で靴下になって作業したことが判明。このことは前号で詳しく紹介したけども、なぜ靴下で作業したかについて当該の東電社員らは「きれいだと思った」と説明したらしい。確かに現場はホコリなどを防ぐために設置した部屋なので、見た目はキレイだ。でも、あたりまえだけど、放射性物質は汚染が目に見えないから怖い。福島県の山は今でも緑が深くて、見た目はキレイだ。そんなことが忘れられてしまうほど、作業員の危機意識が薄れていることになる。