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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2019/8/2(No.65)
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【No.65】繰り返し起こる初歩的なミスと初歩的なトラブル
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■繰り返し初歩的な過ちが起こる福島第一
呆れてものも言えないのは、僕だけでもなかった。東電の中にも呆れている人はいる。それでもこんなことが起きるんだと思ったのが、7月5日のパフォーマンス会議(東電が協力企業を集めてトラブル情報などを共有し、再発防止につなげるための会議)で報告された案件だった。
なんと福島第一原発の放射線管理区域内、つまり防護服が必須のエリアで、勝手に防護服から通常の作業着に着替えてしまった作業員がいたのだ。東電はこのことを自ら発表したわけではなく、会見で筆者が指摘して説明を始めた。なんというか、この東電の姿勢にも呆れてものが言えないけども、6月には放射線管理区域の中で靴下になって作業した東電社員がいたことが発覚したし、福島第一原発の放射線に対する意識が低すぎて恐ろしくなってしまう。
作業着の着替えをしたのは東電パワーテクノロジーの下請け企業の作業員。東電の説明では、「急いでいた」という。この作業員は単身赴任で福島第一原発に来ていて、この日は週末で帰郷することになっていたらしい。けれども防護服から通常の作業着に着替える場所はいつも混み合っていて、1時間半程度待たされるため、自分の企業が管理する企業棟(スーパーハウスと呼称している、作業現場近くに設置されている各企業のプレハブの建物で工具などを置いている場所)で着替えてしまったのだという。
急いでいるからといって指定場所以外で着替えるのは、明確なルール違反。へたをすれば身体汚染につながりかねない重大な違反といっていい。東電はこの事を「G2」(是正措置を確実に実施すべき事柄)に分類。水平展開する必要があるという認識を示している。
前述したように、福島第一原発では6月に放射線管理区域の中で靴下になって作業したことが判明。このことは前号で詳しく紹介したけども、なぜ靴下で作業したかについて当該の東電社員らは「きれいだと思った」と説明したらしい。確かに現場はホコリなどを防ぐために設置した部屋なので、見た目はキレイだ。でも、あたりまえだけど、放射性物質は汚染が目に見えないから怖い。福島県の山は今でも緑が深くて、見た目はキレイだ。そんなことが忘れられてしまうほど、作業員の危機意識が薄れていることになる。
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