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【No.15】燃料取り出し工程の後ろ倒しで明らかになる、欺瞞の廃炉作業の悪質さ
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【No.15】燃料取り出し工程の後ろ倒しで明らかになる、欺瞞の廃炉作業の悪質さ

2014-11-01 19:46

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    木野龍逸の「ニッポン・リークス」

                       2014/11/1(No.015)

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    [目次]

    1.東電福島第一原発事故トピック

    (1)燃料取り出し工程で初の後ろ倒し━━まやかしの廃止目標はそのままに

    2.気になる原発事故ニュース

    3.編集後記

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    1.東電福島第一原発事故トピック

    (1)燃料取り出し工程で初の後ろ倒し━━まやかしの廃止目標はそのままに


    <前回改訂から1年半で工程が後ろ倒しに>

     資源エネルギー庁福島第一原発事故収束対応室と東京電力は10月30日、福島第一原発の事故で溶融した核燃料などの塊(燃料デブリ)の取り出し開始時期が、現在の目標より5年ほど遅れる見通しを明らかにした。1号機の使用済み燃料の取り出し時期も、現在の目標から2年遅れる。東電の策定した新たな燃料取り出し計画でわかった。今後は、2015年春の中長期ロードマップ改訂に向けて、政府、東電が詳細を検討していく。

     計画が遅れる原因として説明された内容はいくつかあるが、もともと明確な根拠があって作られた計画ではないため、今の段階で遅れの原因を探っても、あまり意味はないと思える。

     福島第一原発の事故収束作業は、政府の原子力災害対策本部(原災本部)が2011年12月21日に決定した「東京電力福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に則って進められている。中長期ロードマップはその後、2013年6月27日に改訂され、1号機と2号機の燃料デブリの取り出し開始時期を当初目標より1年半ほど早め、2020年度前半としていた。

     それからわずか1年半で、一度は前倒しした目標が困難になり、1号機の燃料取り出し時期を2025年度に変更した。このため資源エネ庁の記者会見では、NHKの記者が「見通しが甘かったと思わざるをえない」とし、短期間での見直しとなった認識を聞いた。

     これに対して事故収束対応室の新川達也室長は、「短期間とは思っていない」としたうえで次のような認識を述べた。

    「昨年6月に前のロードマップを改訂して以降、汚染水問題ではさまざまなことが起きているが、廃炉の分野でもどこまで水位があるかなどいろいろなことが段々とわかってきつつある。そういった状況をふまえて、今度の工程を考えていかなければいけないが、他方でわかってないことが多い。デブリの位置が正確にどこにあるのかなどもわかっていない。そういうものを勘案した中で、リスクがある使用済み燃料を早期にとりだすという意味で、どういう工程があるかを考えた。できるだけ早く1Fのリスク減らすという意味でこの工法が妥当と考えている」

     この官僚説明を要約すると、前回改訂から1年半の間に判明したことが多いので、それを反映させたという説明だった。しかし時間がたてば情報が増えるのは当然で、そのことを計画では考慮していなかったことになる。

     もともと燃料デブリの位置は不明だったし、格納容器や圧力容器の損傷具合もほとんどわかっていない。五里霧中で計画を立て、その後に状況が判明する中で計画に無理が生じたというのであれば、それこそが、見通しの甘さを物語っているというほかない。

     
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