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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2014/10/22(No.014)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
南相馬市の避難指示地点、解除へ━━環境省調査とは裏腹にホットスポットが残る
2.気になる原発事故ニュース
3.編集後記
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1.東電福島第一原発事故トピック
南相馬市の避難指示地点、解除へ━━環境省調査とは裏腹にホットスポットが残る
<最後に残った特定避難勧奨地点>
10月17日に原子力災害現地対策本部と環境省は、南相馬市の特定避難勧奨地点の現地調査を実施した。調査では、敷地内では最高2.97μSv/h、敷地にに隣接する林で最高約3μSv/hが計測されたが、国は解除の基準としている3.8μSv/h(年間20mSv)に達していないとして、月末解除の方針を変えない姿勢を示した。
原子力災害現地対策本部・住民支援班の福島伸一郎班長は、調査後の囲み取材で、解除の時期について地元自治体と「協議をした」と述べたが、協議の結果について質問しても「協議はした」と繰り返すのみで、答えはなかった。
南相馬市の特定避難勧奨地点における国の現地調査後の囲み取材 YouTube
http://ow.ly/D8ufv
この2日後、ぼくは知人の編集者と、前号で紹介したホットスポットファインダーを持って調査した地点を計測してみた。すると、特定避難勧奨地点に指定されていない家の敷地内で最高3.9μSv/h(地上50cm)の高線量地点があることがわかった。これは国の解除基準を超過した数値だ。南相馬市の避難指示解除は適切なのか。いまいちど考えてみる。
特定避難勧奨地点は、事故発生後1年間で20mSv以上の被曝をする可能性がある地点で、避難指示とは違い、指定は世帯単位(家単位)で行った。国による調査の結果、指定されれば避難するか住み続けるかを選択することができる。指定の対象になったのは伊達市、川内村、南相馬市の3自治体だった。
避難した場合は、他の避難指示区域と同様、月額10万円の精神的損害に対する賠償金が支払われた。
問題は、指定が世帯単位で、面の汚染を無視していたことだった。隣接する家でも指定が分かれるなど、生活環境は共通なのに被曝を避ける権利や賠償面では大きな差がついた。指定されれば賠償が継続し、指定されなければ賠償は2011年の8月で打ち切られたのだ。
南相馬市では、指定されなかった家は仮設住宅への入居も後回しにされた。ある家では、事故から2年が経過した頃になって、市から「仮設があいたので入居できる」という連絡があったという。連絡を受けた住民は「あまりにも馬鹿にした話」と怒って、入居しなかった。
このような待遇の差から、地域の分断の招いたケースもあった。
また、指定は秘密裏といっていい状況で行われた。南相馬市では、行政区長にさえどの家が指定されたのか伝えられなかったという。指定地点の詳細は今も公表されていない。最終的に、南相馬市では152世帯が指定された。
その後、2012年12月に伊達市と川内村は解除され、南相馬市だけが残った。伊達市と川内村の解除時には、住民説明会などはなく、国は自治体との協議をもって一方的に解除した。月額10万円の精神的損害の賠償は、解除後3カ月で打ち切られた。
それでも戻らない住民は多かった。解除から半年後の2013年6月14日に朝日新聞は、解除された伊達市では約8割が戻っていないことを伝えた。