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Kotaku Japanでも何回か紹介している萌え系フィットネスアプリ『ねんしょう!』ですが、ついに日本から飛び出して『Burn fat with me!』という名前で海外デビュー。海外のメディアでも話題になっているようです。 そこで今回は、世界の萌えアプリとなったクリエイティブフリークスのふぃぐまさんに『ねんしょう!』海外進出の舞台裏についてお話しを伺いました。インタビューは以下より。
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――海外版を出すことになったきっかけは? ふぃぐま(以下、ふ):そもそも、アプリでちゃんと収益を上げていくのは国内だけでは限界があると思っていたんですね。最初からやりたいなと思っていて、今回やってしまったと。全然売れないのも覚悟していましたけど。 イラストも完全にロリロリなイラストでもなく、「萌えは萌えなんだけど少年マンガ方向に振ってくれ」とお願いしていました。さらになるべくエロゲー、エロゲーした制服にするよりも地味に、『ラブプラス』っぽく真面目にしてみたんですね。かといって少年誌に振りすぎるのもあれなので、最後のほうでエロゲーっぽい要素を入れてまゆってキャラが出来ました。で、日本でリリース後に外国人の方に見せてもOKだったので、これならいけると。
――翻訳やローカライズはどのように行いましたか? ふ:翻訳は最初あてがなくて、ダメ元で日本人の友人に頼んでいたんですね。その上、HPの翻訳は契約に入っていなくて。でも「やってしまえ!」と『ねんしょう!』のホームページの英語版を自力で作ったんですよ。そのあとで日本でYahooニュースとかに掲載されて話題になりまして...。それを見たアメリカ人の方から「お前の英語じゃ絶対売れないから、俺が直してやる、このアプリは俺にやらせろ」ってメッセージが届いたんですよ。それでお話しして、海外版のディレクターをお願いすることになりました。
――奇妙なようですが、日本で話題になったおかげで海外版がリリースできた、ってことなんですね。 ふ:そうです、そうです。『ねんしょう!』の英語版は演出や内容が変わっていて、まったく直訳じゃないんですよ。全部向こうっぽくアレンジされてますね。「それがローカライズだ! って言ってました。」結果的に「翻訳が完璧だ」と言われています。
ボイスも最初に日本でオーディションしたんですけど、パートナーのアメリカ人がネイティブかつ、日本の文化に精通した人間でなければ納得してくれなくて...。帰国子女でも「これは違う、これは違う」と。結局、彼の提案でアメリカで募集することとなり、向こうの声優募集サイトでオーディションをやりました。 アメリカで募集したら60人ぐらいの人数応募があって。日本のものってある意味プレミアムなようで、日本の萌えアプリに参加できるのはすごいことだったのかもしれません。日本で言うとハリウッド映画に出るような。海外版を出したあとから、向こうのプロのアニメ声優から「使ってくれ」といったメールがきたりしました。 ――実際、『ねんしょう!』を購入する海外ユーザーはどのような人々なのでしょうか? ふ:今のところ日本が大好きなアニメオタクの人達に受けています。そのせいか、「ボイスは英語より日本語のほうがよかった」と言われることも多かったですね。日本語ボイスに英語字幕をつけてくれと言われて、アップデートで対応したら評価が上りました(笑)。 あとは、海外のユーザーは売れた本数に対してレビューを書いてくれる確率が高いですね。しかも、「ここをこうしてほしい」というような建設的な提案を含んだ物が多いです。 他にも、メキシコに住んでいる方から「俺にスペイン語に翻訳させろ」というメールが届きましたね。メキシコって萌え文化が発達していて、秋葉原みたいな場所があるんですよ。一時期『ねんしょう!』が有名なメディアに取り上げられて、メキシコのカテゴリランキングの上位になったことがありました。先ほどのメールはそれを見ていた方からでしたね。だから、そのうちスペイン語にもなると思います。 あとは、向こうのすごい人はぱっとクリアしてしまうので、「ぬるい」とか言われましたね。そんなことないはずなんですけど(笑)。 ――販売してみて手応えはいかがですか? ふ:向こうのメディアで取り上げられたので、最初はそれなりに売れました。ただ、海外版については瞬間風速は強かったけども、落ち着くのも早かった。今は広告宣伝費をかけるか、奇跡を待つかといったところです。評価は高いので、いつかなんとかなると思っているんですけど。 あと、海外だとコンセプトを褒めてくれる方が多いですね。日本では「萌え」って感じで紹介されるんですけども、向こうでは「ビジュアルノベル+フィットネスで、さらに恋愛要素があってモチベーションを刺激する」というところが新しいと。 ――海外で得た教訓というか、売るためのコツみたいなものはありますか?こうしておけばよかった、というような。 ふ:3つあります。まず、有料のノンブランドアプリは85円が限界だということ。向こうでは日本よりもアプリの単価がちょっと高いので、85円だと安く感じてもらえます。日本のアプリってやっぱり異文化で馴染みがないものなので、ちょっとでも高いと思ったら買ってもらえないんですね。日本市場で損すると思ったので今は高くしていますが、向こうの市場では85円であり続けるべきだったと思っています。 2つ目は、(ターゲットがアニメ好きな人なら)ボイスは日本語でもいいということ。英語はあってもいいけど、無理につけなくても字幕があればOK。翻訳は外国人にやってもらった方がいいですね。 最後に、萌えは海外でも通用しますが、『ねんしょう!』に関してはコンセプトが受けたんですね。「スマートフォンで萌えとフィットネスをくっつけたのがいい」ということで売れました。結局、萌えに頼るのではなくてちゃんとしたものを作らなければだめで、ただ普通に萌えアプリを持って行っても難しいんじゃないかと思います。
優れたコンセプトの上で活躍する『ねんしょう!』のキャラたち
――萌えはOKというのは意外でした。漠然とですが、広く受け入れられないかと思っていたので。 ふ:もちろん、ダメなものもあります。例えば妹系の海外進出は諦めたほうがいいですね。甘い声で「お兄ちゃん」って言うだけでタブー。日本的にはギャグみたいなもんなんですが、わかってくれないみたいです。うちのパートナーには「妹物を作るなら親に言えない仕事になるので恥ずかしいからやめる」と言われました。これも文化の違いですね。 ――最後に今後の展望をお聞かせください。 ふ:12月にスクワットのアドオンアップデート、そして来年春にランニングアプリの「2」を予定しています。 走るところをしっかり作っています。一緒に走っている感覚が重要なので、検証のためには自分が走る必要があり、当初の予定よりズルズル伸びていますが、既存のランニングアプリとはまったく違う、他にないアプリになると思います。そもそもゲーム、「萌えゲーム」になっていますからね。 実は、ランニングが本命だったものの、難しかったので最初に『ねんしょう!』の初代をつくったという裏話があります。誰に企画書をみせても「面白い!」と言われているので、予定通りできれば、すごいものになるはずです!
『ねんしょう!2』で登場予定のキャラクター
――ゲームになっているというのが楽しみですね。今日は貴重なお話しをありがとうございました。 ふ:こちらこそありがとうございました。『ねんしょう!』を是非楽しんでください。
ふぃぐまさんの努力の結晶、『ねんしょう!』は英語・日本語両対応で、iTunesとGoogle Playにて購入できます。今回はKotaku Japan掲載記念として、11月18日までアプリ本体が85円に値下げ、そしてほとんど値下げしないというアドオン(腹筋、腕立て伏せ)も半額のセール中です。世界中の人といっしょに萌えて燃えましょう!
ねんしょう![iTunes]
ねんしょう![Google Play] (ゲームキャスト トシ)
RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2012/11/moe_fitness_nenshou.html