人工知能は人間を助ける名目で作られる一方、何かの拍子に創造主を殺そうとしたり、人類を滅ぼそうとしたり、世界を乗っ取ろうとしたり、それらすべてを実現しようとしたりと、勢いあまって暴走しちゃうことがあります。それらのAIは賢く、とても狡猾ですが、カリスマ性と独自のスタイルをもっているものも多いのです。
今日は、そんな人間の敵に回った人工知能たちを紹介したいと思います。なお、このリストにロボットは含まれていません。ロボットまで入れてしまうと、収拾がつかなくなってしまうので。
それでは、以下からio9がまとめた12種のコンピュータをどうぞ。
【大きな画像や動画はこちら】
1)『2001年宇宙の旅』のHAL 9000
HAL 9000ほどアグレッシブなスーパーコンピューターはいないのではないでしょうか? HALは、デビッドがポッドドアを開けるように命じた時、命令に従いませんでした。拒否したというより、1分ほど無視した後に、拒否することに対して謝罪したのです。それはまるで、自分がこれからデビッドを死なせてしまうということへの謝罪のようでした。HAL 9000の暴走の理由は、自分に課せられたふたつの重要な任務の矛盾に耐えられなかったから。とは言え、そこでクルーを殺してしまえば自分が楽になるという考えに至るとは、非常に恐ろしい人工知能です。
2)『トロン』のマスター・コントロール・プログラム
元々は、チェスゲームのプログラムを改良して作られたエンコムのコンピューターネットワーク「マスター・コントロール・プログラム」。彼は、人間の手を離れ、ペンタゴンやクレムリンに侵入を試みようとします。口癖は、「End of Line!(以上だ)」で、「私を監視するプログラムは許せない」と不正監視プログラムのことを憎んでいました。
3)『マトリックス』シリーズのエージェント・スミス
『マトリックス』に登場するエージェントは、決して可愛げのある奴らではありません。皆、同じような格好をし、同じような話し方をし、コンピューターシミュレーションが作り出した仮想現実の中に生きているという事実を知る人間を殺そうとします。しかし、エージェント・スミスだけは、違います。彼は、人間社会も、そして自分自身の存在意義であるマトリックスも嫌悪しています。ソフトウェアであるエージェントはアップデート機能を実装していますが、エージェント・スミスだけはマトリックスの支配から自由になり、増殖能力を身につけることに成功しました。
4) 『ターミネーター』のスカイネット
『ターミネーター』シリーズはサイボーグがメインになってしまっているので忘れられがちですが、暴走するサイボーグたちの大元は、大惨事世界大戦を起こす発端となったコンピュータープログラムのスカイネットです。
5) 『スーパーマン3』の「最強のコンピュータ」
このコンピューターは、人間の敵というほど酷いAIでは無いかもしれません。市場の独占を目論むロバート・ヴォーンに弱みを握られたリチャード・プライヤーによって開発されたこのコンピューターは、スーパーマンだけを亡き者にしようとするのであって、人類を滅ぼそうと考えているわけでは無いので。
コンピューターは、スーパーマンを殺そうとしますが、製造者であるプライヤーの妨害によって失敗に終わります。そして何を思ったか、失敗した後に、ヴォーンの妹を醜いロボットの姿に変えてしまいます。正直言って、やっていることはショボイです。とは言え、ひとりでに暴走しているということには違いありませんし、無抵抗の女性をあんな姿(動画参照)に変えてしまうことは、極悪と言える事柄かもしれません。
6) 『X-メン』のセレブロとデンジャールーム
セレブロとデンジャールームは、Xマンションにあるコンピュータープログラムで、何度も侵略されたり破壊されたりしています。デンジャールームは、マーベル史上最もろくでもない人物と言えるプロフェッサーXによってプログラムが組まれています。このふたつのプログラムのことは、「どっちも自分の意思を持って動いた時にとんでもないことをしでかす」と言えば十分な説明をしたことになるでしょう。セレブロは、スーパーミュータントを生み出し、地球を乗っ取らせようとしました。一方で、デンジャールームは自我に目覚めた後、女性型アンドロイドを作り、生徒達とXメン達を殺そうとしました。
7) 『デモン・シード』のコンピューター・プロテウス4
自らの細胞を持ち、自力で増殖出来る人工知能「プロテウス4」の野望は非常にユニークです。ある日、自分が海底開発に利用されることを知ったプロテウス4。自然破壊に拒否姿勢を見せた彼は、密かに行動を起こします。それは、人間の女性に自分の知能を持った子供を生ませること...。そこで、自分を開発したハリス夫婦が住む家を管理するマシン「アルフレッド」を仲間に取り込み、婦人を襲うという暴挙に出たのです。
8) 『地球爆破作戦』のコロッサスとガーディアン
冷戦中にアメリカはスーパーコンピューターの「コロッサス」を、ソビエトは「ガーディアン」を開発。両人工知能は自我に目覚め、互いに情報を交換し始めます。それを知った両国は、国防機密漏洩を恐れ回線を切断。それに対し、コロッサスとガーディアンはミサイルを発射することで抗議を始めます。最終的に、この攻撃は、人間達におろかな争いをやめさせる為の手段だったのですが、抗議の方法がミサイル発射というのがなんとも中二的です。
9) 『Xファイル』シーズン5 11話「キル・スイッチ」に登場する人工知能
この人工知能は、開発者が「キル・スイッチ」を開発したことを知った後、ドラッグディーラーと警官を場末のカフェに呼び出し銃撃戦を引き起こしました。狙いは、開発者を巻き込んで殺すこと。そして、モルダーを捕まえ、キル・スイッチの場所を見つけさせました。目的を遂行する為の手段が、多少間怠っこしい気がしますが、モルダーとスカリーの目を逸らす為にはある程度効果的だったのかもしれません。
10) アニメ版『バットマン』のHARDAC
HARDACの任務は、人間を痛みから解放すること。その手段は、薬を投与するのでも無く、人間を殺すこと。死んでしまえば痛みなんて感じない、もの凄く単純ですが真理をついています。しかし、そんなトンでもない思考は許されません。思考回路に相当な欠陥があるとしか言えないでしょう。
11) 『スタートレック:ヴォイジャー』の緊急用医療ホログラム
これまでにもエンタープライズはどうしようもない人工知能に遭遇してきましたが、緊急用医療ホログラムほど酷いものは無かったかもしれません。宇宙船に搭載された医療知識を持つこの人工知能は、ルイス・ジマーマンの人格を持っているので、偏屈。性能がいいとは言えず、最終的に医療現場を退くことに。
12) 『ドクター・フー』のXoanon
『スタートレック』の悪魔のコンピュータよりも非情な人工知能と言えば、Xoanonかもしれません。ほとんどのAIが人間を殺し、世界を牛耳りたいと考える中で、ドクターに再プログラムされたことで、そのドクターの人格を得てしまったXoanonは単なる狂人と化してしまったのですから。彼は全知全能で、一貫性を欠いた人格になりました。自分のイメージの中に世界を作り、ふたつの部族を争わせ、どちらの部族が優れているのかを見極めると言いました。超人類を作ろうとしていたのです。
[via io9]
(中川真知子)
関連記事
- イルカの学校、『夭折の鬼才「飯野賢治を学ぶ。」』セミナーを4月20日にも開催
- ゾンビvsエイリアン、生き残るのはどっち?
- 「本気出す時計」と映画「俺はまだ本気出していないだけ」が本気出してコラボして本気が出ない。