それまでのホラー映画の恐怖をはるかに飛び越え、殺人鬼が人を惨殺していく「スラッシャー」の走りともなった、1974年の映画『悪魔のいけにえ』。芸術的評価も高く、続編やリメイク、前日譚も作られている傑作ですが、オリジナル版の公開から約40年経った2013年7月13日(土)、正統なる続編『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』が日本公開されます。
そこで今回は、本作でレザーフェイスを3Dで蘇らせた、ジョン・ラッセンホップ監督にインタビューして参りました。
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ーーオリジナル版『悪魔のいけにえ』の公開から40年近く経っているわけですが、偉大なる古典の新作を製作する上で、気をつけた点があれば教えてください。
ジョン・ラッセンホップ(以下、ラッセンホップ):やはりオリジナル版の熱狂的なファンを大切にしつつも、オリジナリティを加えて、今の観客も楽しめるように現代性を持たせたいと思いました。そういった思いがわかりやすく形になっているシーンの一つが、冒頭に見られる、よりスタイリッシュに、そして3Dで映し出されるオリジナル版一作目のフッテージでしょう。
その他にも、トビー・フーパー版からアイデアを拾って、本作に反映させています。路上の死んでいるアルマジロ、バンの使い方、女の子の行動などがそうですが、そういったシーンにちょっとひねりを加えています。初見でも楽しめ、オリジナル版のファンでも楽しめる作りを目指したんです。
さらに、本作ではオリジナル版に出演したマリリン・バーンズ(サリー・ハーデスティ役)、ガンナー・ハンセン(レザーフェイス役)、ジョン・デュガン(グランパ役)、オリジナル版2作目に出演したビル・モーズリィ(チョップトップ役)を起用しました。オリジナル版の公開当時、彼らは若かったし、その後シリーズに関わることもなかったので、すでにアメリカでは忘れられていたんですよね。そんな彼らが本作に出演して喜んでいる姿が見られたのは、監督として嬉しかったです。
ーー40年経っても色あせない、レザーフェイスというキャラクターの最大の魅力はなんだと思いますか?
ラッセンホップ:実は最初にもらった本作の脚本では、チェーンソーで銃弾を跳ね返すことすらできる超人的な悪役、それこそ『ターミネーター』みたいに描かれてて、かんべんしてくれよ! って思いました(笑)。
自分が好きなのは、どこかかわいそうで、幼い子どものようにすら感じられる、でも同時に凶暴なモンスターであるレザーフェイスです。なので、本作でもなるべくレザーフェイスの複雑な内面と、超人的悪役ではない脅威性を表現しました。
ーーレザーフェイスの乱暴な扉の閉め方などは非常にオリジナル版に忠実で、「ああ、同じレザーフェイスだな」と感じました。
ラッセンホップ:細かいところまで見てくれてありがとう! 気づいてくれて嬉しいよ!(満足そうに笑いながら)
今回レザーフェイスを演じたダン・イェーガーは、素晴らしい体格と運動能力があり、なおかつ子供っぽさも残している役者だったので、自分のレザーフェイス像にぴったりはまりました。
ーー本作ではかなり強烈にゴア描写を描いていますが、何か特別な意図などはあったのでしょうか?
ラッセンホップ:2013年現在の観客は、ある程度センセーショナルな表現、ゴアを期待してホラー映画を見るので、それには応えなければいけません。ただ、オリジナル版を意識していたので、なるべく死者数は抑え、一人一人に死ぬべき理由をつけました。
ただ、それでも「ゴアが多すぎる!」という声が上がるのはわかります。楽しかったから謝りませんけどね(笑)。
ーーゴア表現も含めて、3Dのアトラクション的な効果が上手く作用しているように感じました。実際に製作していて、3D映画に可能性は感じましたか?
ーー本作を製作する上で、『悪魔のいけにえ』シリーズ以外にインスピレーションを受けた作品はありますか?
ーーホラー映画において、観客を怖がらせ、楽しませるのに一番大切なポイントはなんだと思いますか?
ーー現代は物騒なので、仮に殺人事件などが起こった場合「ホラー映画の影響」と言われがちですが、そういった意見をどう思いますか? 個人的には、ホラー映画は世界平和のために作られていると思うのですが。
ラッセンホップ:実際本作を編集している時に、コロラドの銃撃乱射事件が起きて、その影響で『テキサス・チェーンソー・マサカー 3D(元々の原題)』から「マサカー(大虐殺の意味)」の文字を削ることになりました。事件が「コロラド・マサカー」と報道されていて、「マサカー」という単語に人々が過敏になっていたんですね。
『テキサス・チェーンソー 3D(原題)』というタイトルも気に入っているので、それほど気にしてはいないんですが、君の意見には全面的に同意です。ホラー映画が犯罪のきっかけになるわけではないと思います。ホラー映画こそ、恐怖を学ぶことができ、人が心に抱えてしまう暴力衝動を発散できる娯楽のはずです。だから、君の意見には同意です(力強く何度も)。
ーー日本ではややホラー映画が敬遠されがちな状況にあるのですが、ホラーが苦手な人に本作をすすめるとしたら、どういった言葉をかけますか?
ラッセンホップ:日本刀持って殴りこみに行こうかな(笑)。
冗談はさておき、本作の物語は主人公が若い女性で、自分の血筋の知られざる過去にモンスターが実は関わっている、さあ、あなたならどうしますか? という話です。サスペンス、ゴア、ホラーもありますが、なんといっても娯楽作品なので、ダークな部分、ファンタジーな部分も含めて、ポップコーンでも食べながら、楽しんで見てほしいですね。
ーーアメリカでは最近ホラーのリメイク、リブートが多いですが、『悪魔のいけにえ』以外の作品でリメイクやリブート、続編を作ってみたい作品はありますか?
ーー個人的にはオリジナル版の2もすごく好きなので、『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』も続きが見てみたいと思ったのですが、いかがでしょうか?
ジョン・ラッセンホップ監督
監督のオリジナル版への深い思い入れがビンビン感じられましたが、ジェームズ・ワン監督の『ソウ』シリーズ、ロブ・ゾンビ監督、そして『キャビン』のドリュー・ゴダード監督も影響を受けたと語ったアレクサンドル・アジャ監督の『ハイテンション』など、近年の作品の名前が挙がったことも印象的でした。
『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』は、レザーフェイスが呼ばれて飛び出てチェーンソーで人をぶった斬る! だけでも最高ですが、オリジナル版『悪魔のいけにえ』の一部映像が3Dで見られ、なおかつ現代的なホラー表現もキッチリと入れ込まれています。巨乳ヒロインを中心とした、スラッシャーにかかせないエロスも含め、見逃しちゃいけにぇ!
『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』は、7月13日(土)TOHOシネマズ日劇(サマーナイトロードショー)ほか全国ロードショー。
(C)2013 TWISTED CHAINSAW PROPERTIES,INC. AND NU IMAGE,INC.
[『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』公式サイト]
(スタナー松井)
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