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なぜ科学者はフィクションで悪者として登場しがちなのか?
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なぜ科学者はフィクションで悪者として登場しがちなのか?

2014-10-20 22:30
    なぜ科学者はフィクションで悪者として登場しがちなのか?


    近年のディストピアを始めとするSFの世界では、トンでもない発明をした科学者が諸悪の根源というパターンが多いような気がします。何故、近年は科学者が悪役として登場しがちなのでしょうか?


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    以前なら悪魔のような人間や悪の組織といった存在が悪者として登場していたのに、近年のディストピアを始めとするSFの世界では、トンでもない発明をした科学者が諸悪の根源というパターンばかりのような気がします。そんな疑問をio9が掘り下げてみたようです。

    悪役は科学者という流れが一般的になってきています。数年前に大ヒットした『アベンジャーズ』を例に見てみましょう。

    敵はロキですが、よく見てみるとエリック・セルヴィグ博士が四次元キューブの実験を決めたことが原因で物事がおかしな方向に進んで行ったのが分かります。S.H.I.E.L.D.もキューブの力を利用しようとしていたので、セルヴィグ博士だけが責められるべきではありません。しかし、大本のきっかけを作ったのは紛れも無くセルヴィグ博士です。

    また、『ダイバージェント』でも科学者集団が自分たちの描く計画の邪魔になる人々を殺そうと画策していましたし、『猿の惑星』シリーズで人間を憎む猿を生み出したのも科学者です。

    他にも、SFテレビドラマの『FRINGE/フリンジ』のサイコ達も『28日後...』で結果的にゾンビの大発生を引き起こしたのも(科学者の忠告に耳を貸さなかった動物愛護活動家にも問題は十分ありますが...)、SFドラマ『Helix』で人類が危険に及ぶ可能性の或るウィルスを発生させたのも科学者です。

    ここまでくると、科学者が登場するだけで、主人公を助ける脇役もしくは大惨事を引き起こす悪者のどちらかに分類出来てしまう可能性があります。これは何故なのでしょうか?

    サイエンス・フィクションの中で科学者を悪にするのが流行っている、もしくは設定の辻褄をあわせるのに悪の科学者の存在が都合が良いというのが理由なのでしょうか?

    海洋生物学者のデビッド・シフマン氏が、自身のフェイスブックに映画『メイズ・ランナー』を見た感想を次のように書いています。

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    個人的な意見だが、私はサイエンス・フィクション映画の中で科学者が悪役という設定には辟易している。映画『メイズ・ランナー』の場合、地球文明が崩壊した後にも関わらず、どういうわけか科学者が資源を調達し、毎晩構造を変えることが出来る難解な迷路を作っている。


    こんな迷路を作った理由は? ばかばかしい挑戦を前にしたとき、人間がどんな考えにいきつき、どんな行動を起こすのかを知るため? 既に人間の脳のある一部の記憶だけを消して他は残す方法を生み出すレベルの技術を持っている科学者が、そんなことの為だけにこんな大掛かりな迷路をつくるのだろうか?


    それに行動学の研究なら、より効果的で低予算な方法があるはずだ。迷路の中で子供達を恐ろしい目に遭わせる必要も無い。


    科学者が悪魔や無感情な存在に描かれるのはもう沢山だ。悪役にするにしても、何故科学者がこんなことをするのかと観客を納得させられるだけの上手い理由付けも出来ていないじゃないか?


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    科学や研究は一般人から見れば不可解な部分が多く、謎に満ちていると思われる傾向があります。そして、「化学は不可解」だからこそ魔法のように捉えられがちであり、映画の中で科学者が悪役になりやすいポイントになっているのではないかと、io9のアナリー・ニューウィッツ記者は考えているようです。

    『フリンジ』に登場する多くの科学者やボリバー・トラスクを始めとするスーパーヒーロー映画の科学者は、作中で魔法使いのように描かれています。これは、世間が科学や科学者といった存在を理解していないからこそ、魔法使いのような設定になっていると考えられるようです。

    ニューウィッツ記者が面白い例えを書いています。

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    マッドシェフは殆ど出てきませんが、マッドサイエンティストは頻繁に登場します。それは、料理が得意じゃない人にとっても料理は身近なものであである上に「不可解」ではなくそれが原因で世界が終わるとは考え難いからでしょう。しかし、科学は万人にとって身近というわけではありません。多くの人に取って科学は「謎めいて」いて「不可解」な分野なのです。


    そして、不可解で魔法使いのようなことをしているにも関わらず、必ずしも同じような科学者で無ければ倒せないというわけでもないというのが、悪役に起用されやすい理由でしょう。


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    悪の科学者というキャラクターをミステリアスにし過ぎなければ、『コスモス』のように話数を増やすことができるだけでなく、『インターステラー』や『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』のようなクライム・サスペンスにすることも可能です。


    つまり、キャラ設定のパラメータをどう弄るかで、ドラマティックなSF大作映画にもなるし、地に足付けたクライム・サスペンスにもなる都合の良い存在が科学者ということなのかもしれません。


    最後に、io9のニューウィッツ記者はこう書いています。

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    科学者は魔法使いではなくシェフといったもののように描いたドラマや映画なら、科学者を穴埋めの暗号のように扱うことは無ないでしょう。そういった場合、魔力的な要素は減るかもしれませんが、世界に対するより深い理解が得られ、より良いストーリーを楽しめるようになるのでは無いでしょうか?


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    [via io9

    中川真知子) 

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