ぼくが暮らす秋谷は農漁村であると同時に別荘地でもある。古来より風光明媚な地として知られる立石の絶景は江戸時代に安藤広重によって描かれ、明治時代には葉山御用邸を訪れていた陛下お気に入りの場所となり茶寮が作られた。夏目漱石がその才能を高く評価した作家泉鏡花「草迷宮」の舞台でもある。大正昭和には企業の保養所が次々と建設された。ぼくが生まれるまで銀座で働いていた母も夏休みに会社のみんなと泊まりがけで訪れたことがあると話していたから少なくともその頃にはもう都会で暮らす人々にとって束の間の非日常を味わう場所になっていたのだろう。
草の根広告社
「母が見ていた風景」
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