振り返ることのない人生だった―――なんて言い方は少し大袈裟ですかね。作品の話です。特に二十五歳くらいから書かせて頂くようになった脚本については放送が終わってしまえば読み返すこともありませんでした。完成した映像作品を見返すことも。発売されたDVDやブルーレイの見本盤の中には封を切らないまま棚に並んでいるものも少なくありません。終わったときにはすでに新しいものに向かっていて食指が伸びなかったこともあるし、そもそも改めて見返すまとまった時間がありませんでした。むしろ自分の作品を見返すことは老後の楽しみに取っておいたところもありました。つい最近までは。