海が茜色に染まり始めた頃、娘を膝に乗せて母に電話した。何度目かの呼び出し音に続いてパソコン画面に母の顔が映る。
「オヤジどうしてる?」
 母がはいはい、とカメラを仏壇に切り換えてくれた。黄色い花と白い花が供えられていた。母が鳴らしてくれたリンの音に合わせて、画面越しに娘と妻と一緒に手を合わせた。