市内の感染者数が連日100人を越え、ついに秋谷海岸への立ち入りも「近隣の方以外立ち入りをお控え下さい」という注意書きとロープで規制された。厳しい残暑と体調を整えなければならない理由もあり、週末は家の中で過ごす。トレッドミルで軽く汗を流し、午後はベランダで冷えたノンアルコールビールを飲みながら、仕事の原稿を読む。陽射しは強いけれど、秋の涼風が心地良い。娘はシャボン玉をしている。「リゾートみたいだね」と妻が呟いた。確かにリゾートみたいだ。菜園のある海辺の町ということで引っ越してきたこの町だけど、別荘も多いリゾート地でもあるのだ。そういえば、昭和40年頃、銀座の不二家レストランで働いていた母も夏の社員旅行で秋谷の保養所に来たと話していた。独身時代にこの海を訪れた母はここに息子が棲む未来なんて想像もしていなかっただろう。ましてや孫がその海岸を毎日のように裸足で走り回る未来なんて。