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三浦半島にはいくつかの天然温泉がある。観光地らしく宿に併設された海の見える温泉もあるけれど、多いのは古くから生活者に寄り添ってきた銭湯のような温泉だ。ぼくの暮らす秋谷にもかつてはそういう温泉があった。「大楠温泉」。秋谷が熱海のように海水浴場として賑わっていた昭和30年代。前田川の上流にある源泉から3㎞ものパイプで自然流下させてオープンした内湯のみの銭湯のような温泉だったそうだ。漁師や農家も多い地元の人たちの日常的な憩いの場となっていたそうだ。夏祭りの後なんかは神輿の疲れを癒やしながらの語らいの場になっていたのだろう。地域コミュニティの拠点のひとつだったのだろう。残念なことにぼくが移住してくる一年前に老朽化と人口減少により閉鎖されてしまった。
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