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マクガイヤーチャンネル 第142号 【東浩紀の「積極的棄権」と『鈴木先生』の「生徒会選挙!!」編】
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マクガイヤーチャンネル 第142号 【東浩紀の「積極的棄権」と『鈴木先生』の「生徒会選挙!!」編】

2017-10-25 07:00
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マクガイヤーチャンネル 第142号 2017/10/25
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おはようございます、マクガイヤーです。

前回の放送「最近のマクガイヤー 2017年10月号」は如何だったでしょうか?

『猿の惑星:聖戦記』『アウトレイジ 最終章』の解説に時間を割きましたが、改めて振り返ってみると『猿の惑星』について語り残したことも多く、少し反省しています。どこかで『猿の惑星』回をやった方が良いのかなあ。



マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。


○11月11日(土)20時~

「ハルクとソーとアメコミ翻訳の現場」

11月3日より『マイティ・ソー バトルロイヤル』が公開されます。

本作はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)期待の新作であり、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』『ロード・オブ・ザ・リング』をモチーフにしたニュージーランド航空の機内安全ビデオを撮ったタイカ・ワイティティ監督のアドリブ演出やコメディセンスが発揮された傑作であるとの評判です。

一方で、『マイティ・ソー バトルロイヤル』は最近邦訳が発表された『プラネットハルク』が大きな影響を与えているとも言われています。


そこで、『プラネットハルク』の邦訳も担当されたアメコミ翻訳者の御代しおりさん(https://twitter.com/watagashiori)をお招きして、ハルクとソーの魅力に迫りつつ、アメコミ翻訳の実際についてお聞きします。




○11月18日(土)20時~

「ジャスティス・リーグのひみつ」

11月23日よりDCエクステンデッドユニバース(DCEU)の新作であり、期待の大作映画でもある『ジャスティス・リーグ』が公開されます。

しかしこのDCEU、前作である『ワンダーウーマン』はヒットしたものの。ライバルであるMCUに比べて勢いがありません。それどころか、テレビドラマやカートゥーンでのDCコミックス映像化作品に比べても元気がありません。

そこでこれまでのDCコミック諸作品を振り返りつつ、映画『ジャスティスリーグ』やDCEUの今後について占いたいと思います。

果たしてグリーンランタンや、マーシャン・マンハンターや、はたまたブノワビーストは出るのか?

ブースター・ゴールドやプラスティックマンの登場まで、暗い夜と光線技アクションシーンの我慢を強いられるのか?

ジョス・ウェドンは独占禁止法に違反しないのか

……等々、ジャック・カービーやニューゴッズの話題も交えつつ、様々なトピックで盛り上がりたいと思います。




さて、今回のブロマガは『のび太の創世日記』について書……こうと思ったのですが、選挙に関連して漫画『鈴木先生』について書かせて下さい。なんか、このタイミングでしか書けないと思いますので。


●あずまんと「積極的棄権」

放送でも少し話題にしましたが、今回の衆議院議員総選挙にて、批評家の東浩紀は「積極的棄権」を提唱していました。

http://www.asahi.com/articles/ASKBB44GKKBBUTIL025.html

http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/09/hiroki-azuma_a_23237074/

https://dot.asahi.com/aera/2017102300089.html

「積極的棄権」というのは、単に選挙に行くのが面倒くさいからという理由ではなく、「今回の選挙はくだらなすぎる」「おまえらの政治ゲームにはのらないよ」と訴えるという意味だそうです。

東浩紀はchange.orgを用いて署名活動もしています(https://goo.gl/RK83jk)が、これは投票の棄権を呼びかけているものではなく、自分と同じように「2017年秋の総選挙は民主主義を破壊している。民主主義を問い直したい」と考えている人達を可視化する意味での行動だそうです。

署名運動が呼びかけではなく声なき声を可視化する行動を意味するというのは不勉強にも初めて聞きましたが、東浩紀自身が投票に行くかは「当日まで考える」といっていて、その「考え」によっては棄権ではなくどこかに投票するかもしれないわけで、東浩紀自身の中では筋の通った行動なのでしょう。「こんな選挙、棄権したくなるほど意味無いわー」という意見への同意を集め、可視化すると言う意味での署名運動――ということなのかもしれませんが、これこそポストモダンという気もします。「呼びかけではない」という言葉が批判に対する言い訳でなければという前提での話ですが。


実のところ、「今回の選挙はくだらなすぎる」という東浩紀の気持ちについては、よく分かります。宮台いうところのアメリカケツ舐め安部政権を信任したくないし、かといってガチウヨ小池百合子率いる希望の党にも投票したくありません。選挙の時だけ電話してくる共産党は信用できないし、「直ちに影響はありません」を見事に使いこなした枝野幸男も信頼できません。

それでも、選挙においては、どこかに投票するしかないのです。この選挙システム自体に異議申し立てをするには、別の行動が必要になります。



『鈴木先生』とは

そんなことを思ってしまうのは、生徒会選挙への棄権を訴える中学生「西くん」が登場する武富健治の漫画『鈴木先生』の「生徒会選挙!!」編を連想してしまったからかもしれません。

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ただ、西くんが選挙システムそれ自体への疑問を持ち、棄権を呼びかけるのは東浩紀と同じですが、エピソード全体から受ける印象は東浩紀が引き起こした「事件」とは全く逆のものでした。


『鈴木先生』は2005年から2011年まで漫画アクションに連載されました。ドラマ化や映画化もされたので、ご存知の方も多いかもしれません。とある中学を舞台に、鈴木先生と生徒達が学校内外で巻き起こる問題に対して、議論やら行動やらを通して解決していくさまを描いた漫画です。

ただ、ここが重要なのですが、作者である武富健治はリアルな中学生活を描こうなんて気は更々ありません。

中学校というのは、民主主義が制限された環境です。中学生は大人と子供の中間的存在で、自分で環境や時間の使い方を選ぶ自由が無く、ある意味人間扱いされません。「大人」とされている教師は、文部省やPTAや「世間」といった外部環境に自由を制限され、権力システムにおける中間管理職ともいえる存在です。そして、「子供」である中学生は時に大人を越える知性や洞察力や行動力をみせ、「大人」とされる教師や保護者は時に「子供」よりも幼稚な理屈を口にしたりします。

しかし、そんなある種の極限状況だからこそ、民主主義の力を信じるべきだ! というのが『鈴木先生』のテーマです。つまり、『鈴木先生』は中学校という象徴的空間を利用して、我々の現実に言及するとか、照射するとかいったことをやろうとしているのです。


●『鈴木先生』の「生徒会選挙!!」編

『鈴木先生』は全11巻(+『外典』の1巻)にまとめられていますが、「生徒会選挙!!」編はその9~10巻にあたります。大分後半のエピソードですので、これまでに登場した様々なキャラクターが生徒会長やら副会長やらといった役職に立候補し、それぞれの悩みや葛藤や成長が描かれます。クライマックスは全校生徒が集まった体育館での演説大会です。


その中でも、生徒会長に立候補した西くんは、これまでコマの片隅にしか描かれていなかったキャラクターです。地味で陰気な手のかからない生徒である西くんが立候補したことに驚く鈴木先生。と同時に、クラスの中には単なる驚きではない反応を示す生徒たちもいます。皆、西くんと同じ東小学校出身の男子生徒たちです。


(ちなみに「いまの学校教育は、我々が普段思っている以上に、手のかからない生徒の心の摩耗の上に支えられてるんだ」というのは、鈴木先生自体が口にする、この漫画のキーワードです。これは、いまの我々のリアルな社会生活が、普通の人々の心の磨耗の上に支えられている、と作者が考えている、ということでもあります)


いったい東小時代になにがあったのか――それとなく調査を進める鈴木先生ですが、「思想的な戦いに赴かんとする同志の面」をしている生徒たちの口は堅く、なかなか調査は進みません。

判明した真相は意外なものでした。

西くんには、小学生時代に渡くんという児童会で活躍する友人がいました。小5時代に児童会副会長を務め、児童会の仕事にやり甲斐を感じた渡くんは小6に進級してからも会長選に立候補しますが、折り悪く、転校してきた人気子役俳優も会長選に立候補したのです。更に、低い投票率に苦慮した教師たちが、それまで無記名だった投票システムを記名投票に変更し、全員投票を強制したことも相まって、渡くんは落選してしまい、そして不登校になってしまいます。


ムードに流され単なる人気者に投票した周りの生徒たち(大衆)、そして1票の重さを真剣に考えない大衆にもいい加減に票を与え投票率が増加することのみをよしとする学校側(体制)、なによりも選挙というシステムそのものに、西くんたち一派は決定的な不信感を抱きます。

だから、中学に進学後の最初の生徒会選挙で、西くんたちは「意図的に組織的に無効投票をする」というやり方で、自分たちの気持ちと現行の選挙システムとの間に折りあいをつけました。しかし、今回の選挙では熱血体育教師の岡田先生が有効投票率増加キャンペーンを推進し、ついに西くんは彼なりの「テロ」を決意するのです。

それは、会長選に立候補し、大勢の注目を浴びる演説大会にて現行の選挙システムに異議申し立てをするというやり方でした。


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ぼくは…

ポスターの公示があってから今日まで…

勉強や自由の時間を大幅に削って各候補者について調べ…考え──

今の演説の内容や様子もしっかり観察分析し…

誰に入れるか本当に真剣に吟味しました。


しかし…ちゃんと考えれば考えるほど…

自分の判断に疑問がわき──

誰に入れたらいいかわからなくなりました。


みんなそれぞれに期待してもよさそうな良さがあり…

また逆に信用できないといえば信用できない!

それが隠さざるぼくの実感です!


例えば…

ぼくが本当は大したヤル気もなく…

邪悪な目的でここに立ったとします…


それでもなお──訓練によって

さわやかな表情や発声を身につけ

好イメージを打ち立てることもできるし──

公約の内容にしても

ネットなんかで調べればそれらしいのをでっち上げることもたやすくできるんです


現にぼくも…もともと吃音癖があるのですが…

有料のセミナーに3ヵ月通ってこの通り…

舞台上では流暢に話すことができるようになりました…


実際には自分に実現能力などなくても──

自己洗脳で自分をだまして考えないようにすれば

ヤル気に満ちた頼れそうでパワフルなキャラになり切ることも容易だし…

気の利いた公約を別の誰かに考えてもらい傀儡を演じることも

決して困難な仕事ではありません…!


難しいのは──

そういった一見うさんくさい能力も

当選後実力として役に立つことも多く…

単なる上辺の飾りに過ぎないと切り捨てるわけにはいかないということです…


そんなことまで合わせて考えると

とても片手間では正しい判断にたどり着かない…

投票というのはこんなにも重く難しい仕事なのかと──

正直投げ出したくなります……


それでも…

もし他の投票者が真剣に苦悩して投票し──

投票後結果が出たあとも自分の投じた一票の正しさや重さについて後悔や反省を深く重ねているのなら

たとえどんなに苦しい作業であってもぼくはそれをやる!

全身全霊をもって投票にのぞみます!


しかし…!


正直…ぼくには多くの人がお気軽な覚悟で…

下手すれば能天気なイベント気分で

いいかげんに参加してるとしか思えない!


最悪なのは…

自分がどれだけ不真面目なのかさっぱりわかっていないで…

自分が十分に義務を果たしていると信じて疑わない阿呆だ!


本当に真剣に取り組んでいる人なら…

必ず自分の仕事に迷いや葛藤がある!

ぼくのこの言葉に怒りを感じたとしても

それをむき出しにぶつけることを自分に許すはずがない!


その単純さこそが不真面目の証拠だッ!!

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全然関係ありませんが、ドクターはRWBY見てますか?youtubeで300円で見れるので、よろしければ見てください。

No.1 86ヶ月前
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