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マクガイヤーチャンネル 第187号 2018/9/5
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おはようございます。マクガイヤーです。

今週末から行く旅行の準備をしているのですが、色々と手続きをしなくてはならないのにパソコンの調子が悪くてイライラしています。

買い換えた方が良いのかなあ。

前回の放送「最近のマクガイヤー 2018年9月号」は如何だったでしょうか?

夏の劇場アニメの話がしっかりできて、満足しております。



勝手ながら、旅行のため次週のブロマガはお休みになります。



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



○9月29日(土)20時~「『ゴールデンカムイ』と世界変態列伝」

明治時代末期の北海道・樺太を舞台に、アイヌの金塊を求めて様々な人物が交錯する『ゴールデンカムイ』、いまノリにノっているマンガの一つです。

2016年にマンガ大賞、今年手塚治虫文化賞を受賞し、10月からアニメ第二期も放送されます。

そこで、『ゴールデンカムイ』が参照したと思しき古今の西部劇・時代劇・冒険小説等々を解説すると共に、血沸き肉踊るアドベンチャーと、大自然の中で生命の恵みを口にして生きる愉しさとが同居する、本作の魅力に迫りたいと思います。


アシスタントとして、声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)に出演して頂く予定です。



○10月6日(土)20時~「最近のマクガイヤー 2018年10月号」

詳細未定

いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



○10月27日(土)20時~「しまさんとマクガイヤーのビブリオバトル」

秋といえば食欲の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。

マクガイヤーチャンネルでは編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をゲストにお迎えして、ビブリオバトル形式でおすすめ本を紹介する番組をお送りします。

マンガ、フィクション、ノンフィクション……と幅広いジャンルからあまり知られていない本を紹介する番組になりますが、準備段階からしまさんの意気込みが圧倒的で、楽しい番組になると思います。




○Facebookにてグループを作っています。

観覧をご希望の際はこちらに参加をお願いします。

https://www.facebook.com/groups/1719467311709301

(Facebookでの活動履歴が少ない場合は参加を認証しない場合があります)



○トークイベント『夜の手塚治虫〜ここでしか語れない、黒くて妖しいオサムのこと。』に出演します

9/27~10/14まで、吉祥寺の街イベント「吉祥寺アニメワンダーランド2018」が開催されます。

今年のテーマキャラクターは生誕90周年を迎える手塚治虫です。

イベントの一貫として10/12にトークイベント『夜の手塚治虫〜ここでしか語れない、黒くて妖しいオサムのこと。』が開催されるのですが、自分も登壇することになりました。

参加メンバーが豪華すぎて、今から緊張しているのですが、ここでしか聞けない話が盛りだくさんのイベントになること間違いなしです。


イベント詳細は↓から

https://yamada-reiji.com/archives/1998

チケットは↓からお買い求め下さい。

https://peatix.com/event/419577




さて、今回のブロマガですが、『ヒロアカ』こと『僕のヒーローアカデミア』について書かせて下さい。

映画公開を機に原作も読んだのですが、これがまた面白かったのですよ。



『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜』面白かったです

戦隊もライダーも卒業した現在小6の息子はすっかりアニメにハマり中。それも、『ワンピース』とか『バディファイト』とか少年漫画っぽいのばかりみています。先週まで夏休みだったので、全く宿題をやらずに『フォートナイト』ばかりプレイしていて嫁に怒られたりしていました。


そんな息子の誘いで『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜』を観にいったのですが、死ぬほど面白かったです。『未来のミライ』は(悪い意味で)別としても、『ペンギン・ハイウェイ』『ちいさな英雄』などと比較しても頭一つも二つも抜けている映画でした。


自分は原作漫画をまったく読まずに本作を観たのですが、

「主人公デクはヒーロー育成学校に属し、ヒーローを目指していること」は当然として、

「デクは”個性”と呼ばれる特殊能力を持っていなかったがNo.1ヒーロー オールマイトから継承した」

「力を喪いつつあるオールマイトは気を抜くとマッチョからガリガリになる」

「オールマイトの存在が犯罪に対する抑止力となっていることから、これらのことは秘密となっている」

……等々の、原作と映画で共通する重要設定を冒頭数分でしっかり説明してくれます。


その上で、原作漫画をベースとしたレギュラーアニメから独立した巨大人口移動都市<I・アイランド>と<I・エキスポ>いう外伝的な舞台設定、そこで起きるテロ事件と、テロリストにマークされていない学生ヒーローである主人公たちの活躍……というお膳立てが上手すぎます。「大人のヒーロー達が動けないからおれたちが動く!」みたいな展開はアニメ『ヤングジャスティス』で何回も観たような気もしますが、そもそもアメコミの『ニューミュータンツ』『ジェネレーションX』がそんな話でした。きっちりとアメコミの美味しいところを拾い、高い塔を登りながらバトルするというアクション映画のベタ展開をやり、各キャラの”個性”を使った見せ場が必ず一度以上はあり、サプライズが複数あるクライマックスを迎えるという、ものすごく良く出来たエンタメ映画になっていました。更に子供が知恵と勇気で大人の悪者を出し抜き、最後は倒すという少年漫画の一番の魅力を踏まえた上で、「真のヒーローは困った人を助ける」という原作のテーマをひろい、『〜2人の英雄〜』のタイトルどおりのテーマを、二羽のカモメが空を舞うシーンのブックエンド方式で匂わすという完璧さです。

気になってチェックしたら、監督の長崎健司と脚本の黒田洋介は、自分が大いに楽しんだ『ガンダムビルドファイターズ』のコンビでした。流石やなあ。


更に面白いのは、本映画だけにゲストとして登場するオリジナルキャラクターの立ち位置です。

ヒーローのサポートアイテムを開発する父娘(デヴィッドとメリッサ)が出てくるのですが、娘メリッサはデクと同じく“無個性”です。おそらく父も同様に”無個性”か、ヒーローになれるほど強くないショボイ“個性”しか持っていないでしょう。二人は本映画において大きな役割を追い、主人公であるデクやオールマイトをサポートするという関係にあります。有名俳優が吹き替えを担当していることからも、力の入れようが伺えます。

そして、この「“個性”を持ったヒーローをテクノロジーでサポートする“無個性”」という関係性には、どことなく「圧倒的な才能を持った漫画家(のコンテンツ)を、技術と経験と人数でサポートするアニメ製作者」というリアルの関係性が匂ってくるのです。や、長崎健司や黒田洋介がメリッサ・シールドみたいな美少女という意味ではありませんよ。


この考えを推し進めていくと、本映画がわりとシリアスでダークな部分に触れていることが分かります。

本映画は、クライマックスで「“個性”を増強する装置」が出てきます。デヴィッドはこの装置を、「力を喪いつつあるオールマイトを助けるために開発を急いだ」と説明されます。

が……もし動機を「自分もオールマイトのようにヒーローとして活躍したかった」としたらどうでしょう? しかもこの動機は、主人公であるデクと同じものでもあります。だから主人公もメリッサも、デヴィッドのこの動機を否定することができません。一気にアラン・ムーアやマーク・ミラーのような、アメコミヒーロー脱構築ストーリーになってしまいます。


勿論、本映画は誰でも楽しめるエンタメを目指してこのような展開を周到に回避しているのですが、ちょっと細部を変更するだけで『ビューティフルドリーマー』『オマツリ男爵と秘密の島』のようになってしまう危うい魅力も持っているのです。



●原作『ヒロアカ』におけるヒーロー競争社会

映画があまりに面白かったので原作漫画も読んだのですが、これまた面白かったです。

社会に認められたヒーローがヒーロー活動をすることで収入を得て生活する――いわゆる「職業ヒーローもの」をテーマとする漫画やアニメは『タイバニ』『ワンパンマン』など多数ありますが、映画でもコミックでもこれだけ「ヒーローもの」が溢れる昨今、一つのジャンルとして成立している感があります。皆大好き『デッドプール』も、「傭兵」という「職業ヒーローもの」といえるかもしれません。